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「振り袖って、歩くの大変そうだね」
君が私の足元を見下ろして、そう言う
「そうなんだよね、本当に素敵なんだけど、ちょっと疲れちゃう」
「座る？椅子あっちにあるけど」
「あ、ううん。大丈夫だよ」
どこまでも優しくて、気遣いのできる人。
私の神宮寺くんに対する第一印象は、これだった。
「スーツ姿も、なんかいいね。大人って感じがする」
思ったままのことを、変に気があるように聞こえない言い方で伝える
「俺がスーツなんて、なんか変な感じしない？」
君がくすりと笑いながらそんなことを聞いてきた
「えー、そうかな？いいと思うけど」
「Aがそういうなら、それでいっか」
こうやって、一言で私をどきりとさせるところも、あの頃と一緒。
でも、大学生なら、スーツくらい着る機会あるでしょ？
そんなことを聞こうとして見上げると、
「………」
会場にいるキラキラした新成人たちを、切なそうに見ている君の横顔が、目に飛び込んできた
この表情は、何？
君のそんな顔、あの日以来見たことがない。
なんとなく、なんとなくだけど、
神宮寺くんが何か、とんでもないものを背負っている気がした。
だけど、そんなことを聴けない私は、
深く関わろうとしない私は、
もうすでに、どこかで君を意識してしまっているのかもしれない。
「……まだ、実家に住んでるの？」
神宮寺くんが、ぽつりと私に聞いた
「うん、まだあの家」
「そうなんだ」
″あの家″
その言葉だけでも、神宮寺くんとの記憶が脳をかすめていく
神宮寺くんは、今はどこに住んでるの？
そんなことすら、聴けなかった。
だけど、見ていて思う。
君は、大人になって、
あの頃よりも更に、かっこいい男の人になっていた。
これはきっと、成人式マジック、だけど。
「ていうかさ、会った時も言ったけど、」
神宮寺くんが、私を優しく見下ろす
「その振り袖、本当に似合ってるよ」
「………ありがとう、」
なんとなくこれがいいって、レンタルのお店に行った時に一目惚れした振り袖
青じゃなくて、微妙な蒼い色の花の柄が、綺麗だと思った
その蒼い花を、神宮寺くんはじっと見つめる
ねえ、どう思う？
こんな振り袖を着て、君にまた会うなんて。
やっぱり私は、
君を意識、していたのかもしれない。
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詩愛(プロフ) - _to_shoさん» いつもありがとうございます！切なく共感していただけて本当に嬉しいです^^ 続きもお楽しみに！ (2020年2月15日 15時) (
レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
_to_sho(プロフ) - 選ばなかった未来が、少し気になるの、、、切ないです泣。共感100パーセントです泣 (2020年2月9日 2時) (レス) id: 92c3943f3d (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - _to_shoさん» 楽しんでいただけて何よりです！がんばって更新してまいりますのでよろしくお願いします！！ (2020年1月31日 19時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
_to_sho(プロフ) - 俺にちょっと時間ちょうだい、のとこでキュンキュンマックスです！！長いお話逆にありがとうございます！！ずっとドキドキできるとか最高です！よろしくお願いします！！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 92c3943f3d (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - _to_shoさん» 嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2020年1月27日 19時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年1月13日 13時
