劣化コピー【瀬名泉】

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「じゃあおれがお兄ちゃんになってやるよ」









え…？


ふざけているのかと思ったら意外と真面目な顔だ。




「月永先輩なんて堅苦しい！」


「だいたいKnightsでおれだけ名字に先輩ってなんかやだ！」


「レオくんって呼んでいいぞ☆」




レオくん…ね。


一応先輩なのだからちょっと気が引ける。


そう言えば先輩はじゃあセナは？と聞く。


返す言葉がない。


一応泉くんも先輩なのだから。


観念して名前を呼ぶ。




「れ、れおくん」




すると月永せんぱ…………れおくんは満足そうに頷く。




「やっぱり似てるな！」




なにがと聞こうとしたその時




〜〜♪♪♪




突然れおくんのケータイの着信がなった。


れおくんは手でごめんの動作をして電話に出た。




「…もしもし？ルカ？…………え？学校に？…………分かったすぐ行く」




どうやら妹さんからの電話らしかった。




「ルカたんが迎えに来てくれた！」




じゃあまたな！


そう言うとれおくんは早々と音楽室を出ていった。


静かになった音楽室。


窓の外を眺めていると、中学校の制服を着た女の子が目に入った。


れおくんと同じ黄昏色の髪だ。


恐らくあの子が噂のルカちゃんであろう。


しばらく見ているとがれおくんが走ってルカちゃんの元へと向っているのが見えた。


2人はその場でなにか話した後、仲良く帰っていった。


その後ろ姿を見て思う。


普通の兄弟はあんな感じなのかなと。


私と真くんは昔はあんな感じだった。

毎日一緒にいた。


でも段々、一緒にいることが少なくなった。


男女の兄妹なんてそんなもんだと思ってた。


でもあの兄妹を見る限り、それは違うと分かった。


れおくん達が異常なんじゃない。


私達が異常なんだ。


最近では家でもあまり会わなくなった。


真くんも嬉しいんじゃないかな。


こんな妹に会わなくてすんで。


きっと私の顔なんてとっくに忘れてる。


もしかしたら存在も忘れてるかも。


別にいいんだけどね。


私は透明人間に近いから。


その場にいてもいなくても変わらない。


害もなく得もなく


空気だ。



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