口癖 -3- (ページ38)

今日:3 hit、昨日:29 hit、合計:51,471 hit

130 / そろそろ、ね。ページ38

side A

未だ空気が解けないまま、数日が経ったとある日

潤の病室に居ると、ノックの音が響く。

俺ら以外に来るのは先生しか居ないから

潤が、どうぞーとのんびり答える。

「検査？」

「うん、脳の方のね。これで大丈夫なら退院も考えよう」

「お、よかったじゃん潤」

俺らのほうが嬉しくてそう言えば、

ふふ、と柔らかく微笑んで頷く。

「そこでひとつだけ提案なんです、」

先生が突然俺らのほうに顔を向けるから、少し背筋が伸びる。

でもその視線は、ニノのほうに向いていて。

「せっかくですし一緒に最後の検査やりませんか、二宮さん」

きょとん、なんて効果音が付きそうな顔をしたニノが

俺？なんて表情をしながら俺らを見渡す。

「俺も、ですか？」

「はい、今後潤は通院になりますし、念のための検査が出来る最後の機会なので」

「あぁ………まぁ、念のため……も、必要……なのかな、？」

まさか自分も検査するなんて思ってもなかったようで

少し戸惑ってるニノから、どう？なんて視線が投げられる。

「いいんじゃない？ニノだって一緒に落ちてるわけだし」

「最後に何もないって確認できたら安心じゃん」

「まぁ……そっか、」

「行ってきなよニノ、ね」

最後の一押しとして、翔ちゃんがそっと背中に手を添える。

それをじっと見ていた潤が

承諾したニノを見て安心していた。

潤も心配なんだろう。

「じゃあ先に二宮さんやりましょうか、その後潤で」

「場所近いから一緒に行こ、ニノ」

「うん。……潤くん慣れてるね、」

「ふふ、怖いんだぁ」

「うーるさい、」

くすくす笑う潤と

耳を少し赤くしてるニノと。

そんなふたりは、いつも少し距離が近い。

いつもの空気に戻りたい、そんな感情が滲み出ている会話だと

そう思った。