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618 / 何にでもなれる ページ33

side O




潤ちゃんの手を優しく擦りながら

さらに深く見つめて。









和也「記憶はね、怖いものじゃない。
潤くんが失くしてた記憶も、全部大切なものなんだよ。

記憶が曖昧になったとしても俺らが潤くんと居ることに変わりはない。
仕事だって、こうやってどうにかやりくり出来る。

俺らは潤くんが寄りかかかる柱にもなるし、
潤くんを暖める場所にもなるし、
潤くんの記憶にだってなる」









そっと、

額に額をくっつけて

優しく頬を撫で、至近距離で見つめる。




和也「大丈夫……怖がらないで…、
失くしたことも、曖昧になったことも、わからなくなったことも
全部、全部……潤くんの大切な記憶だから」




ポロリ、ひとつ溢れれば

ふたつ、みっつと

追うように溢れるもの。




それを見たニノが

そっと、潤ちゃんを抱きしめる。




和也「怖いね、記憶が失くなるのは怖い。
そんなの誰だって怖い、ダメなことじゃないよ。
でもね、記憶自体は怖いものじゃないの」

潤「……ん…っん、かず…っ」

和也「潤くんの頭と心にはさ、楽しい記憶、たくさんあるでしょ?」

潤「ん…っ、たくさん、たくさん…っ」

和也「悲しい記憶だってあるけど、それがなくなっちゃうと、今の潤くんもなくなっちゃう」

潤「やだ…っ、それ、や…っ」

和也「ね?怖くないよ、大切……全部大切。
いまある記憶は、潤くんそのものなんだよ」




ぎゅ、とニノに抱きついてた潤ちゃんは

恐る恐る顔を上げて、揺れる瞳でニノを捉える。




和也「ふふ、大丈夫、怖くないよ」

潤「……………っ、こわ…く、ない…」

和也「うん、怖くない。
だからゆっくり、記憶を好きになろうね」

潤「ゆっくり…?」

和也「うん、ゆっくりでいいの。それからお仕事しよ?」

潤「いつ…、いつ…?」

和也「ふふ、そんな遠くないから大丈夫。
潤くんもう眠いでしょ、このまま寝ちゃいな?」




気になる、って口にしてたけれど

ニノは眠そうな潤ちゃんを配慮してか、伝えはしなかった。




それでも

ニノの腕の中で眠る彼は、

どこか、心が晴れた表情だった。

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つかさ(プロフ) - 姫ー! どんだけ可愛いのよあなたはw 「しーっなの」にやられたw (2020年10月16日 8時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 櫻宮さん» いつも嬉しいです、、( ; ; )ありがとうございます´`* (2020年10月13日 23時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 楓さん» ありがとうございます( ; ; ) (2020年10月11日 20時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 改めてヲ伽さん好きです .. 「大切にすることは幸せだけど 大切にすることは苦しい」に凄く共感出来ました(; ;) (2020年10月11日 19時) (レス) id: 507cda7d67 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 記憶は怖いものじゃない。その一言が彼を凄くあんしんさせたんだろうなぁ。。(^^) (2020年10月9日 10時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヲ伽 -otogi- | 作成日時:2020年9月19日 17時

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