第四話:協力 ページ5
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『さて、早速だが君達に協力して貰いたいことがある』
江見と白波は早々に仕事を終わらせ、言い付け通りAの机に来ていた。
Aは先程江見に手渡されたファイルを掲げながら、二人を一瞥する。
"協力"
そんな言葉がAの口から飛び出すのは何時振りだろうか。彼女とは中学時代からの付き合いである白波は頭の隅でそう思った。
『具体的には桐ノ院学園の校則及び改訂版を見直し、緩和するというものだ』
「か、緩和！？」
『そうだ。何か文句でも？』
あの校則違反者には一切の容赦はしない厳格で冷酷な暴君と名高い彼女の口から、まさか"緩和"の二文字が出てこようとは。江見は開いた口が塞がらなかった。一方、彼の横に立っていた白波はバツ印の付いた個性的なマスクをずり下ろしながら口を開いた。
「緩和すること自体は賛成だけどさ、急過ぎない？」
彼は基本的に温厚で寛大だが、どうやらAの急な方向転換を少々怪訝に思っているようだった。現に黒曜の瞳は不安げに揺れていた。
『私もこの結論に至るまで色々考えた。緩和することで違反者が増えてしまうのではないか、この由緒正しき桐ノ院学園の看板に泥を塗ってしまうのではないか……だが、学生を若いうちからルールで縛るのも善し悪しだ。現に校則の厳しさをよく思わない生徒も多く居る。彼らのことを考えれば、早急に対応する必要がある……そう思ったんだ』
Aは焦った時、言い逃れをする時、無意識に饒舌になる癖があった。それっぽいことを言い連ねて相手を説き伏せる。それが彼女の常套手段であった。
白波はその癖を知っていた。だが、彼女の言い分に反論はしなかった。今まで律儀に校則を守ってきた彼女がこんなことをするのには理由がある、そう思ったからだ。
「……概ね理解したよ。それで、俺達は具体的に何をすればいいの？」
『そうだな、まずは率直な意見が欲しいところだ』
そう言うとAは白波にファイルを差し出した。
『君達も、ここの校則を良く思っていないだろう？』
全てを見透かす葡萄色の瞳。心の隅で感じていた不信感を見事言い当てられた江見と白波は引き攣った笑いを浮かべることしか出来なかった。
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鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！ (2020年9月13日 13時) (
レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き！シナリオ面白いです(*´∇｀*)本当に！いい展開！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー！ありがとうございます！！女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…！ もう、好きです！(2回目)無理しない程に頑張って下さい！応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴木 | 作成日時：2020年7月20日 22時
