第三十五話:幕間 ページ38
·
傾いた日が窓から差し込み、影を濃くする。
人気の無い廊下を歩くシャオロンの顔は心做しか楽しそうで、手に持ったスマホを見ては喉を鳴らして笑った。
刹那、上から人影が降ってくる。
「チーーッス！シャオロン、楽しそうやなァ！」
「うおぉッ！お前、上から降ってくんなや！
─────ゾム！」
ゾム、と呼ばれた少年はケタケタと笑いながら、シャオロンの隣に着地する。シャオロンが持つスマホに気が付いたのか、興味津々に画面を覗き込んだ。
「なァ。コイツ、昨日戦っとったヤツやろ？」
シャオロンのスマホには、いつ撮ったのかひとらんとエーミールに囲まれ、いつもの鉄面皮は何処へやら、慌てふためいているAの姿があった。
「気になっとるん？」と口元を歪めながら、ゾムはシャオロンを覗き込む。
シャオロンはその言葉に暫し思考した後、何とも意地の悪そうな笑顔を浮かべた。
「気になってるっつーか……新しい玩具見つけた、的な？」
そう言って画面の中のAを撫ぜるシャオロン。ゾムは至って興味無さそうに「ふーん」と返すが、長い前髪から覗く黄緑は楽しそうに煌めいていた。
「あぁ、せや。シャオロンがあんまりにも遅いから、トントン怒っとったで」
「お前っ、それはよ言えや！」
「んははは！」
西日の差す廊下を少年二人が走って行く。
─────何処かで、カチリ、と針の動く音がした。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！ (2020年9月13日 13時) (
レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き！シナリオ面白いです(*´∇｀*)本当に！いい展開！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー！ありがとうございます！！女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…！ もう、好きです！(2回目)無理しない程に頑張って下さい！応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鶴木 | 作成日時：2020年7月20日 22時
