【d!】世界で1番お姫様【zm】【男主】 (ページ3)

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一週間の研修から帰ったAに
ゾムは飛びつくことはなく

他の者と同様
おかえり、お疲れ様と一言告げる程度の出迎えだった

Aも特にそれに驚くことなく業務をこなし

帰宅時間になった

冬の冷え込みに身震いしマフラーに顔を埋めて
ワイヤレスイヤホンを耳に着けた時

後ろから強く抱きしめられた

Aは軽く微笑み振り返る

『俺ん家来る？』

zm「………行く」

風の音一つしない静かな夜である。

随分と汐らしいゾムの手を引いて家に入り
出張先で見つけたレトロゲームを
土産にやると
ゾムはぱあっと顔を輝かせた

これ懐かしいなぁと当時を思い出しながら
二人並んで遊んでいると、チャイムが鳴った。

『出前だ。出てくるね』

と言って立ち上がると裾をひっぱられた

ゾムが眉を下げて
何か言いたげにこちらを見ている

『すぐに帰ってくるから』

細く柔らかな髪を優しく撫でると

こくりと頷いてそっと離してくれた

『ん、いい子』

あっという間に時間は過ぎ

ゾムが俺に体重を預けて来た

眠たくなったのだろう。体温が高くなっている

ゲーム機を片付けて寝室に向けてゾムの手を引くと、眠い目を擦りながら後を着いてきた

『あ、トイレ行ってくるから先に行っといて』

zm「…あかん」

いつもにまして溶けた滑舌でそう告げる

『ええ、あかんのー？笑』

zm「あかん」

とろんとした目を向けて
トイレの前から動かない

待ってるからはよ行けってことか…

排泄を終えて手を洗いドアを開けると

さっきまで眠そうにしていた目が
ぱっちりあいていた

『おまたせ「A」

『ん？』

zm「俺って、、わがままやんな
めんどくさいやんな」

『そんなことないよ』

zm「いやっ、お、ぉ、重いやん
いつもAに気ぃ使わして」

涙で揺らぐ瞳

あぁ～、ヘラっちゃったから
今日は静かだったのか

一歩踏み出して俺より大きな体を包み込んだ

腕の中でビクッと反応するが気にせず
頭を撫でる

『俺は、
ゾムが思ってるよりゾムのこと好きだよ？』

zm「う、うそや」

溢れた涙が肩に水溜まりをつくる

『伝わらない？』

zm「…ん」

ゾムが頷く
俺の肩に寄りかかってるから顔は見えないが
心底不安な表情を浮かべているのだろう

『そっかぁ』

『じゃあ、ちゅーする？』

zm「…ん」

『ぇっちもする？』

zm「……ん」

もっと甘えてくれてもええんだよ
なんて思いながらベッドに沈む俺は

泣き腫らした目でこちらを見下ろす
姫様にかなう日は来ないのだろう