1145. 過去と共にある場所 ページ12
貴方side
ヒューという音と共に冷たい風が駆け抜ける。
宮城を出て2週間くらいしか経っていないのに、よく行っていた公園すらも懐かしく感じてしまった。
この公園は、私の過去と共にある。
あの事件が起きた時も、徹とハジメに両親の話をした時も、私はここにいた。
そして今日も、また過去に繋がる話をしにここにいる。
覚悟を決めなければ……。
優木さんが私にどんな思いを抱いていても、ショックを受けないように。
それが当然だと思うように。
それに答えるかのように、ギコギコと金属の軋む音が聞こえた。
誰かがブランコに乗っているのだろう。
そちらを見ると、青城の制服を着た女子生徒が1人、参考書を片手にブランコを揺らしていた。
桃色のマフラーに顔を埋めた女子生徒は、忘れるはずもない春によく見た人だった。
ゆっくりと、彼女に向かって歩を進める。
足音で分かったのか、彼女はゆっくりと私を見た。
私だと分かっていたのか、彼女はとても悲しそうな目をしていた。
それは、私を憎んでいる相手にしてはあまりにも繊細な表情で、今にも歪んで涙を流しそうだった。
「どうして……」
小さい声が無意識に漏れた。
彼女は何も言わない。
それどころか、ずっと表情を崩さずにいる。
それが少しだけ怖かった。
何か罵声の一言でもあれば、あの時私に怒鳴った優木さんが本当の姿だったと確信できるのに。
そんな悲しい顔をされたら、ますます私が申し訳なくなるだけだった。
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RIO - 一昨年から読ませてもらってるんですけど、コメントするのが今になってしまいました…(多分)。というか、今までの話もそうなんですけどホンマに毎回ハラハラしながら読ませてもらってます!更新頑張ってください! (2021年11月4日 1時) (レス) id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
ありりん(プロフ) - 鈍感少女シリーズ大好きです😊💕完結までどうなるのかドキドキで楽しみにしています😆✨これからも頑張ってください! (2021年9月27日 19時) (レス) @page13 id: 3650cccc93 (このIDを非表示/違反報告)
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