【HQ】鈍感少女 vs 元気少女

552. 田中と山本の熱 ページ13

いろいろ疑問はあるけど、とりあえずお誘いにはちゃんと答えなきゃ。


貴「あ、あの、ごめんなさい。私は青城のマネージャーで……」


と、私が言った瞬間、山本さんの背中でドッと鈍い音がした。

あ、デジャブ……。

チラッとDチームの方を見ると、まだ投げる体勢のままでいた田中さんがいた。


田「虎あああああ！何抜け駆けしようとしてんだ、コラアアア！」


た、田中さん……？抜け駆けとは？

私がよく分かっていない……。

でも、山本さんは田中さんの声でハッとしたようだ。


山「そ、そうだ！俺らには潔子さんが……！」

田「そうだぞ、虎！俺らには潔子さんがいるんだ！他の女マネに迷惑かけたらダメだ！」


私も周りの皆も、その様子を白い目で見ていた。

この2人、熱いのはいいんだけどその矛先がドッジボールじゃなくて別の方に向いてる気がする。

「うおおおおお！」と2人で叫んでいる最中、ボールはどんどん飛んでいくわけで。

ちょうど叫んでいた田中さんの足を、投げたボールが直撃した。

それに気づいた2人は、叫ぶのをやめて当たったボールを見る。

2人しか声を出していなかったから、体育館は一気に静まり返り、余計に虚しい雰囲気を醸し出している。

続いて、田中さんと山本さんは、ボールが投げられた方を見た。

それにつられて私も見ると、そこにいたのは松川さんだった。


松「熱いね、君たち。そんな2人は仲良く外野に行こうか？」

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