【HQ】鈍感少女 vs 仮病少女 2

489. コイツのせいで ページ42

及川side



突然何を言い出すかと思えば、マネージャーを辞めます宣言。

違う、俺が聞きたいのはそんな言葉じゃない。

いずれ処分云々はあるにせよ、その前に言うべきことがあるだろ。

俺も、ここにいる皆も、辞めさせようとしているわけじゃない。

俺らのマネージャーを、Aちゃんを傷つけたことが許せない。

1学期だけでも苦しんだAちゃんを、夏休みに入ってまで同じ目に遭わせたくなかった。

それなのに、コイツは……コイツのせいで……。


及「辞める？違うよね？もっと他に言うことがあるんじゃないの？」


口から出る言葉が、徐々に尖っていく。きつくなっていく。

それは分かっているのに、イライラに任せて暴言まで吐きそうになってる。

いつもなら、年下の女の子相手にそんなことしちゃダメだって思えるのに、その考えすら頭から消えていた。


來「言うこと？確かに及川さん？の言いたいことは分かってます。でも……それを言ったら悔しいので言いません」


何を言ってるんだ、この子は？

淡々と返すその口調に、フツフツと怒りが込み上げてくる。

悔しいってなんだよ……？悔しいのは俺の方だよ。

苦しんでたAちゃんに気づけなかったのに……！

今すぐ全てを吐き出してしまいたい。

でも、こんなところで言ったら、大人気ない。

主将がこんなんでどうするんだ！

それだけが、俺の怒りのストッパーになっていた。

何も言わない俺にもう用はないのか、そのまま保健室のドアの方へと向かう來埜崎さん。

何か言わないと……！

そう思った時だった。


貴「待って！」


來埜崎さんが寝ていた隣のベッドから、Aちゃんが飛び出してきた。

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