【HQ】鈍感少女 vs 仮病少女 2

480. 思い当たること ページ33

清水side



若葉ちゃんが喘息だと分かったのは、合宿の初日だった。

青城の副主将の人が、わざわざ私にそのことを伝えに来た。

それはおそらく、何かあった時は助けて欲しいという意味。

部員とマネージャーは、いつも一緒にいるとは限らないから。

それなのに……。


私は廊下を足早に進み、マネージャーが使っている教室まで来た。


昨日の若葉ちゃんは、顔色がすごく悪かった。

でも、たまたまその日は一緒にいることもなく、近くにいることもなかったため、話す機会が全くなかった。

事情を聞いて、休ませることも出来たはずだったのに。

でもそれと同時に、顔色が悪いことに少し思い当たる節があった。

若葉ちゃんは、夜に喘息の薬を飲んでいるらしい。

でも、3日目の肝試しが終わった夜、若葉ちゃんはずっと消灯時間まで自分の荷物を漁っていた。

最初は、荷物の整理をしているのかと思ったけど、その日以降若葉ちゃんが薬を飲んだところは見てない。

もしかしたら、若葉ちゃん、薬をなくしちゃったんじゃないかな？


そう思いながら、少し罪悪感を覚えつつ、私は若葉ちゃんの鞄を開けた。

中は綺麗に整頓されている。

それを崩してしまうのは流石に気が引けたから、そっと荷物をどけていって薬の袋を探してみる。

ビニール袋の中やポーチの中、いろいろ探してみたけど、結局薬らしきものはどこにもなかった。

てことは、もしかして……。

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