「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ21)

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115. 戻らなかったらページ21

轟が小さくなってから、3日が過ぎようとしていた。

その間、Aは遊ぶ代わりに轟の個性の練習に付き合っていた。

Aは、小さい頃から家で兄弟たちが個性の特訓をしているのを見てきた。

個性が出る前は、炎を出す真似をしたこともあった。

少しだけだが、炎の個性の性質も教わっていた。

個性が水だと分かってから、使わないと思っていた知識がここで発揮されたのだ。

遊ぶような感覚で個性の練習していたため、轟は始終笑顔だった。

そして、いつもいい子だった。

小さい頃の轟は、わんぱくというよりは大人しく、人見知り。

そのため、Aが地雷を踏んでしまった時以外では、誰かに反抗的な態度を取ることもなく、困らせるようなこともなかった。

しかし、日が経つにつれ、Aは轟のことが心配だった。

相澤が個性の解除方法を探しているが、当事者に聞いてももう長らく使っていなかったために方法を忘れてしまったと言われ、手探り状態で探している。

このまま戻らなかったら……。

毎晩、Aの脳裏にはそんな不安が過ぎる。

既に小さく寝息を立てている轟の頭を撫で、Aは1人、顔に影を落とした。

ついこの間まで話したことがほとんどなかった轟が、いつの間にか自分の楽しい空間の中に入っていた。

『今度一緒に勉強するか？』

『勉強終わったら、漫画見てた時に試したいと思ったこと、してみてもいいか？』

轟が小さくなる前の約束を思い出しては、溜息を吐く。

一緒に勉強するって言ったのに……。

少女漫画のシチュエーションの真似、楽しみにしていたのに……。

そう思って目を閉じたAの頬には、一筋の雫が零れた跡があった。

貴「早く戻ってよ……」