「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ2)

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96. 今この時だけはページ2

親の道具になるしかない……。

轟は今までずっと、道具になりたくなくて抗ってきた。

Aも個性が炎だったなら、そういう教育を受けてきたのなら、轟と同じように抗えたかもしれない。

親に期待されていない子どもが抗ったところで、親の反感を買うだけ。

最悪、家を追い出されることもあるかもしれない。

そう考えると、轟はすぐに良い提案をすることが出来なかった。

貴「なんか、ごめんね。もっと早くに言えば良かった……そうすれば、こんな中途半端にはならなかったのに……」

Aがここまで暗い表情を見せるのは、初めてだった。

轟は、そっとAの頭を撫でてから、あることに気づく。

轟「水無月、お前見合いさせられるって言ったよな？」

貴「え？あ……うん。だから、付き合えないって……」

轟「俺たち別に、結婚を目的に付き合ってるわけじゃねえだろ？」

自分で言ってから、轟は少し悲しくなった。

本当は、Aを自分のものにしたい。

結婚までは考えてなかったとはいえ、他の誰かと結婚させることには抵抗がある。

でも、それが出来ないからと言って、何もかもダメなわけではないのだ。

少しでも、Aといられるのなら、抗えるのなら、やらない手はない。

轟「要は、俺とお前が恋について理解すれば、これは自然と終わる。その後は、水無月の自由だ。だから、今だけでいいから、付き合ってくれないか？」

たとえAが、他の人を好きになってもいい。

だから今この時だけは、見合いまでの間だけは、そばにいたいのだ。

Aは驚いたように目を見開いてから、「そっか……」と納得したように呟いた。

そして、轟の顔を見上げてニッコリ笑った。

貴「ありがとう、轟君！これからも、よろしくね！」