58. 自分を大事に ページ11
貴「どう……したの？」
轟「……わかんねえ。お前見てたら、なんか……慰めなきゃって思って……」
轟自身も戸惑いながら言い、Aはクスッと笑った。
そして、轟の肩に顔を埋めながら、静かに首を振った。
貴「私は大丈夫だよ。それより、轟君も大変だったんだでしょ？
昨日、轟君の過去を聞いて、英才教育も大変なんだって分かった。
兄弟の中にも、轟君みたいに辛い思いしてる人もいたのかもしれないかなーって。
私は特に縛られてなかったから、その分自由だったし」
これでは逆に、轟が慰められてるみたいだ。
轟は、Aの頭を軽く押さえた。
轟「水無月、泣いたことねえだろ……家の事で」
ひゅうっとAが息を呑む。
貴「なんで……そう思うの？」
轟「水無月が話してる時、俺は最初、自分の境遇に対して諦めてるように見えた。自分は周りと個性が違うから、そんな扱いされてもしょうがない、ってな」
轟の言葉を聞いて、Aは顔を曇らせた。
貴「……だって、そうじゃん。炎にとって水は天敵。炎のヒーローを育てる家系が、どうやって水の個性の子どもを育てるの？家族がたとえ優しかったとしても、出来ることなんてないよ」
力無く答えたAの頭を、轟はゆっくり撫でる。
轟「個性がどうであれ、それが人の価値観まで決めてしまうのは間違っている。子どもに傑作も失敗作もない。だから、泣くくらいしてもいいんじゃねえか？もっと自分のこと、大事にしろよ」
轟が言い終わるか終わらないかのうちに、Aの肩が震え、嗚咽が漏れる。
轟「ずっと我慢してたんだろ？もう吐いちまえよ」
貴「……っ、私だって……ずっと、皆の仲間に入りたかった。ヒーローに育てて欲しかった。水の個性でも……ヒーローになれるよって……」
Aが自分の本心を吐露している間、轟はずっとAの背中をポンポンと軽く叩いていた。
轟「水無月は、失敗作じゃねえ。お前は、ヒーローになれる」
耳元で小さく呟いたその声は、しっかりとAに届いていた。
Aは、激しく嗚咽しながら、ぎゅっと轟にしがみついた。
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漓娜(プロフ) - キュンキュン通り越してぎゅんぎゅんする（） (2019年6月5日 20時) (
レス) id: 47b69fc756 (このIDを非表示/違反報告)
超能力者えのん＠紙#余韻(プロフ) - 僕は…気付いてしまった…91話の最初の方…｢表示｣が｢表情｣になっていたことに……いろはさんごめんなさい！気になっちゃい派になってしまいました… (2019年5月19日 0時) (携帯から) (レス) id: 1390b0b4be (このIDを非表示/違反報告)
IROHA*(プロフ) - ルルナさん» こちらこそ、すみませんでした。私が誤解したことに囚われず、ルルナさんの想像通りに書いてくださいな。同じような作品同士、私も応援させていただきます。お互いがんばりましょう！ (2019年5月10日 21時) (レス) id: 3fd8a40bef (このIDを非表示/違反報告)
ルルナ(プロフ) - IROHA*さん» ありがとうございます。こちらこそ誤解されるようなことをしていまい申し訳ありません。以後このような事がないように努めていきたいと思います。 (2019年5月10日 21時) (レス) id: e226e38a19 (このIDを非表示/違反報告)
IROHA*(プロフ) - ルルナさん» そうだったのですね、理由が聞けて安心しました！こちらこそ、誤解してしまってすみません。パクリでなければ全然問題ありませんので、更新してください！話してくださってありがとうございました＿|＼○＿ (2019年5月10日 20時) (レス) id: 3fd8a40bef (このIDを非表示/違反報告)
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