【HQ】鈍感少女番外編6 (ページ35)

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岩ちゃんの夏休み 3 ページ35

「行くのは8月だから、あと1か月後くらいになるんだが……その、言うのが遅くなって悪い……」

突然申し訳なさそうにハジメが謝るもんだから、私もびっくりしてしまった。

私、別に怒っているわけでも悲しんでいるわけでもない。

ハジメは自分から言ってくれたし、そんな悪いことだとは思っていないんだけど……。

そう思ったところで、そういえばどっかの誰かさんが、似たようなことで勘違いを生んだことを思い出した。

その結果、私が東京まで家出する事態になったんだっけ……。

いや、でもそれとこれとは関係あるかと言われれば、あまりないような……あるか。

あの時の私は、いろいろ重なっていたこともあって、誰も信用出来なくなっていたから。

多分、二の舞にならないように、ってことなんだと思う。

それに、徹だけじゃなくてハジメも海外に行ってしまうことになるから、ハジメも不安なのかもしれない。

徹とハジメがいない時に限って、嫌なことって起こるから。

でも、昔に比べればバレー部のみんなのことを信用しているし、学校でハジメと会うことはないから、家で1人の時間が増えるくらいだ。

多分、大丈夫だと思う。

もうあの頃みたいに弱くはないはずだから。

「ハジメ……」

私はそう言いながら、ハジメの手を取った。

「私は大丈夫だよ。だから、いっぱい学んできてね」

安心させるように、私はニッコリ笑った。