【HQ】鈍感少女番外編6 (ページ34)

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岩ちゃんの夏休み 2 ページ34

予想していたこととは違う意味で驚いてしまった。

ハジメが……海外に……？

何しに行くんだろう？

ハジメが通っているのは日本の大学だし、留学の話も聞いたことがない。

もしかして、徹の後を追って……？なんて一瞬考えたけど、ハジメに限ってそれはなさそう。

徹とハジメは阿吽の呼吸なんて呼ばれていたけど、それ以前に2人はライバルだ。

楽しく喧嘩している時もあるけど、お互いムキになって張り合っていることも多い。

それに、部活を引退した時に、ハジメが宣戦布告したらしいしね。

本人は否定してたけど。

でも、いくら徹がいなくなって寂しくなったとはいえ、後追いなんて女々しいことをハジメがするわけがない。

じゃあ、別の理由で……？

「A……？大丈夫か？」

ハジメが私の目の前で手を振る。

どうやら、ボーッとしていたらしい。

私は慌てて頷いた。

「だ、大丈夫だよ！でも、どうして急に海外に……？」

素直に尋ねれば、「あー……」とハジメは少し言いづらそうに頭をかいてから口を開く。

「俺が高校時代から筋トレしてた時に、読んでた本があんだけどよ。それ書いてる人が、今アメリカにいるんだわ。だから、夏休みの期間を使って会いに行こうと思って……」

こ、行動力のかたまり……！

そう思ってすぐに、ハジメがトレーニングコーチを目指していたことを思い出す。

分かってはいたけど、ハジメも自分の夢に向かって進んでいるんだ。