7話 ページ8
部屋に入るといつもの数倍は豪華な飯が用意されていた。
どうやら昨日連れてきた女が全て作ったらしい。
あいつ一体、何歳だ？
「美味い二ー!!いつもの肉の丸焼きより数倍美味い二ー!!」
「おいドグラ!!! 何か文句でもあんのかい?!!」
「まーまーお頭。落ち着いて」
たしかに美味い。山賊達が騒ぐのも分かる。
次いつこんな美味い飯食えるか分かんないからな、無心で目の前のものを食べ続けていた。
おれには関係ない。例えあいつが自分のことを��バケモノ��だと言おうと、どうだっていい。
一緒に住むことは面倒だが、まあ美味い飯が食えるのなら安いもんだろ。
＿＿＿＿＿
＿＿＿
「そうだエース！明日連れてきてくれよ！」
「はァ!!?ふざけんなよ！」
「良いだろ!!?お前ばっかずるいぞ。
おれだって美味いもん食いてェ！」
ガキじゃあるまいし何言ってんだ。
……ふふーん、さては。
「おい、そのニヤニヤした顔はなんだ。早急に引っ込めろ」
「やっぱり惚れてたんだな？そうだな？」
「だから違うって言ってんだろ！！！」
冗談でからかえば、顔を赤くして慌てるから面白い。
案外、的外れではないのかもな。
「なんか、心配なんだよな。変な例えになるけど幽霊みたいな。ここに居るのに存在しない、みたいな？上手く言えねえけど」
「ふーん。だから昨日もあんなに必死だったんだな」
「あれは普通だろ。むしろエースが人に興味無さすぎなんだよ」
やれやれと言わんばかりに大きなため息をつく。
当たり前だろ。他人を気にして何になるってんだ。
つくづくお人好しな奴だ。
「ま、それがエースだもんな。さっさと金集めに行こうぜ」
鉄パイプを持ってからりと笑うサボに、だな。と返し鉄パイプを同じように担ぐ。
それ以降、海へ出ることばかり考えたおれ達がその話を思い出すこともなかった。
───思い出したのは次の日の朝。
朝飯を食い終わり、森へ入ろうとした時だった。
ふと頭に浮かんでくるサボの言葉。
無視しようとも思ったが、あいつは存外約束だなんだにうるさい。面倒だが、連れていくしかないだろう。
はァ。距離を置くつもりがこれじゃあやってることが逆だ。
クッソっ、後でぜってぇ1発殴ってやる。
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作者名：パティあす | 作成日時：2020年1月1日 19時
