広い空の下で～約束～１ (ページ4)

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3話ページ4

森に入って少ししたところで野牛に遭遇した。かなりの大きさで今にも突進してきそうだ。

とか思ってたらすごい勢いでこっちに迫ってくる。
一応周りに誰も居ないことを確認して野牛を宙に浮かべる。
そのまま地面に叩きつけて気絶させる。

これが私の狩り。

『ふう。危なかった…』

でもラッキーだ。焼けばかなりの量になるから。
あとは食べられそうな山菜をとり、ダダンさん達の家へ戻る。

朝ごはんとして野菜スープを作って肉を焼いた。

『よし！できた!!』

「美味そうな匂いするな
運ぶの手伝うぜ」

『ありがとうございます』

作った朝ごはんを運んでいると部屋から私と同じ歳くらいの男の子が出てきた。

「あっエース。おはよう」

『おはよう、ございます…』

「!! ……」

一度だけびっくりしたようにこっちを見たけれど、何事も無かったかのように無視された。

「あいつはエース。お前をここまで運んできたのもあいつだ」

それはお礼を言わないと、と駆け寄って頭を下げる。
でも無視して素通りされた挙句、邪魔だと言わんばかりに睨みつけられた。

でも不思議と怖くはない。この人と私はどこか似ている気がしたからかもしれない。

山の外の人間を憎み、諦めていた小さい頃の私と。

「……ぃ……ぉい……おい!!ステラ!!!
何ボーッと突っ立ってんだい。朝飯食うぞ!!」

『！！あっはい！どうぞ！』

ぼんやりしていた私はダダンさんの大声に驚き、そのまま返事をする。わざわざ確認を取ってくれたらしい。

「美味い二ー!!いつもの肉の丸焼きより数倍美味い二ー!!」

「おいドグラ!!! 何か文句でもあんのかい?!!」

「まーまーお頭。落ち着いて」

久しぶりに見た賑やかな食事につい頬が緩む。
エースさんも仏頂面だけど、それでも手は止まっていないから少なくとも不味くはなかったんだろうと思う。

これで泊めてもらった恩は返せたはずだ。
そう思って外へ出ようと玄関まで歩く。

私の乗っていた舟がどこに行ったかは知らないけど、山もあるし、見つからなかったら作ればいい。

「どこ行くんだ？」

『？お礼も済んだからそろそろ出ようかと』

｢｢｢はっ!?｣｣｣

『……え？』

声を揃えてこっちを振り向き驚いたような表情をするダダンさん達に私が驚く。

『あっ、ありがとうございました…？』

「ちげーよ!!!」

お礼を言わずに出ていこうとしたからかと思ったが違うらしい。もしかしてこれじゃ足りなかった…？