2話 ページ15
・
「ステラ!」
次の日。
同じ場所で修行をしていると、明るい声がして振り返る。
そこには予想した通りの人が立っていた。
「昨日ぶりだな!まさかほんとに来てくれるとは思ってなかった」
『約束は、約束なので』
「そっか。ありがとう。
やっぱお前良い奴だな!」
その言葉にどう返せばいいのか分からず黙っていると、サボさんは気にした様子も無く昨日と同じように寝っ転がる。それにならって私も座り込んだ。
「いつも何してんだ?」
『色々です』
「料理とか?」
『まあ』
「んーじゃあさ、ステラはどんな食べ物が好きなんだ?」
『そんなこと知ってどうするんですか?』
この人はなぞだ。
「変なやつ」と言っておきながら、石をなげたり、コソコソ笑ったりするわけでもない。
よく分からない。
なにが目的なんだろう。なにがしたいんだろう。
絶対にうらがあるはずだけどそれがなんなのかが分からない。
そう思っての質問だった。でも、
「別にどうもしねーよ!ただ知りたかっただけだ」
そう言ってまた「やっぱり変なやつだなー」と笑うからますます分からなくなった。この人間は、よく分からない。
「まあ、答えたくないなら別に良いんだけどさ。そうだな、じゃあ───『ハンバーグ』……え?」
『好きな食べ物。ハンバーグ、です』
よく分からないけど、でも。
それくらいなら答えてもいいか、と思えた。
「!!!そっかーハンバーグな!美味いよな!でもおれは肉の丸焼きの方が好きだな!」
『エースさんとそっくりですね』
かぶりつく仕草がそっくりで思わずクスリと笑う。
エースさんはサラダとかスープよりも肉の丸焼きの方がうれしそうで、まっさきに手をのばすからたぶん好きなんだと思う。聞いたことはないけど。
「お前、よく見てるんだな!」
『そうですか?』
どうやらこれもふつうじゃないらしい。
ふつうにするってむずかしい。
そんなことを考えていると突然起き上がったサボさんが難しい顔して何かを考え込んでいた。
もしかして、バレたんだろうか。
私がふつうの人間じゃないことが。
「ステラってもしかして歳上だったりする?」
『え?』
「なんか大人っぽいんだよな。
料理できるし、頭良いし」
『8歳です』
「マジで?」
『はい』
「嘘だろ……」
信じられないと言わんばかりに頭を抱える。
とりあえず関係なくてホッとした。
───あれ?なんで?
102人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:パティあす | 作成日時:2020年1月1日 19時