・ ページ32
.
やや小走りで廊下を歩く。
「廊下を走るな」と叱る立場ではあるが、今は目を伏せてほしい。
「Aが来てるよ」
昼過ぎ、職員室の内線で婆さんから連絡が入った。
幸い、A組の次の授業は英語。他のクラスでの授業も入っておらず十分会いに行ける時間はある。
あの日、突然姿を消した彼女。
訳の分からん男に拉致されるなど、予想もしていなかった。
しかもあの死柄木弔まで関連しているとなれば大事だ。
「……………」
色々と考えを巡らせていれば、いつの間にか相談室のドアの前に着いていた。
正直、合わせる顔がない。
もう一度彼女と向き合う覚悟なんて、出来たつもりでいただけ何もしてあげられなかった。
あの時とまるで同じ。
(俺はあいつに何を言えばいい？)
言葉が見つからないのは、また彼女を傷つけてしまいそうで怖気付いてるからだ。
会いたくないとか、そういうんじゃない。
勿論、彼女が無事に戻ってきてくれたことや怪我はしていないかは、人の口からではなく自分の目でちゃんと確かめたい気持ちはある。
今すぐ抱き締めてやりたいし、またあの笑顔が見たい。
だけど、俺にその資格なんてあるのか。
悩めば悩むほど、目の前のドアに手を掛けられずに俺は重く溜息を吐いた。
「……………臆病者、」
「…しょ、消太？」
心地の良いトーン。
勢いよく振り返れば、彼女が手にじょうろを抱え、不思議そうにこちらを見つめている。
行き場があやふやになっていた手を、彼女の方へと伸ばした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りめろん(プロフ) - mokatiさん» 不具合があったようですね、運営の方からメールが届いていました…！ご丁寧に教えてくださりありがとうございます(;_;) (2018年12月10日 7時) (
レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
mokati(プロフ) - 初コメ失礼します。運営側のトラブルなので大丈夫だと思いますよ。コメント等がもどるかはわかりませんが、バグが治りしだい普通に使えるようになりますよ。 (2018年12月10日 2時) (レス) id: fdecbe79f7 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - いゆ。さん» ありがとうございます(;_;)頑張らさせていただきます…！！ (2018年11月9日 20時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
りめろん(プロフ) - Soleilさん» Soleilさんが毎回下さるコメントに、私もニヤケが止まりません笑 これからのお話も是非楽しみにしていただければと思います…！ (2018年11月9日 20時) (レス) id: f302ac9b96 (このIDを非表示/違反報告)
いゆ。(プロフ) - 早く続き見たいです！！！これからも頑張ってくださいね！！ (2018年11月9日 20時) (レス) id: ee86b7a9ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りめろん | 作成日時：2018年10月24日 0時
