32話目 ページ38
『...私は、ずっと人間という生き物が苦手でした。
人間は面倒です。
愛情も友情も劣等も後悔も優越も正義も悪も、感情があるから起こるものなのだと、そう考えていました。
私は早く人間をやめたかった。
生きている限りこんなに醜い自分で在らなくてはいけいけないことが嫌だったんです。
そうして死のうとした私は、アースラ様に助けられて今に至ります。
ただそれだけのことです。
人間の心は、あの時海に浸ったとき置いてきたつもりです。』
ずっと顔を俯かせて話を聞いていたマルフィさんが、静かにこちらを見た。
その目は少し安心の色があった。
マルフィ｢…では、Aは何があってもこちらの世界を裏切ることはないかい？｣
『えぇ、もちろん。……貴方と初めて出会った日の、あの月に誓いましょう。』
マルフィ｢！｣
自分でも何故こんなことを言ったのだろうかと思ったが、私が真実を誓うのはあの日の月であるべきだと、なんとなく思った。
マルフィさんは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
やっぱりマルフィさんは笑顔の時が1番美しいし、素敵だなぁ。
マルフィ｢そうかい、それなら安心だ。｣
『…隠すつもりはなかったのですが、不快な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。』
マルフィ｢いやいや、私も驚かせてしまって悪かったね。
お詫びに部屋まで送ろう。｣
よかった、もう普通のマルフィさんだ。
そう思うと不思議と顔が綻んだ。
今までもあのような殺意を向けられることはあったのだが、マルフィさんに殺意を向けられたのは少しだけ悲しかった。
なぜだろう。
マルフィ｢A？どうしたんだい？｣
『え？いや、なんでも…。』
マルフィ｢怖がらせてしまったかな。…どうか、私のことを恐れないでいてくれ。｣
何かを察した、というより勘違いしたマルフィさんに頭を撫でられた。
頭を、撫でられた？
『！！！』
それがあまりに唐突だったため、驚きすぎて勢い良く飛び退いてしまった。
『あ、いや、あの、すみません。嫌だった訳ではなくてっ...海の中以外でこういうのは慣れてなくてっ！』
マルフィさんは私の挙動不審さに目を丸くしたあと、堪えきれない様子で笑った。
マルフィ｢ふっ...あははっ！あぁいや、ごめんね。あまりに可愛かったからつい笑ってしまったよ。｣
『か、かわ、かわいっ！？
からかわないでください！！』
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はるまき(プロフ) - 続きが気になる... 更新待ってます！ (2022年10月4日 0時) (
レス) @page43 id: 7c9c8aed08 (このIDを非表示/違反報告)
猫目石(プロフ) - 続きが、、、、気になる、、、 (2020年9月27日 14時) (レス) id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年5月13日 10時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
リンネ - いつも更新楽しみに待ってます！これからも頑張って下さい！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: 679ef415fd (このIDを非表示/違反報告)
悪魔のクリオネ(プロフ) - 与太さん» こんな面倒くさい訂正にも丁寧に答えてくださり、ありがとうございます！ずっと応援しますし、更新待ってますね！ (2018年12月12日 20時) (レス) id: 1aaac5e030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2018年11月7日 17時
