9. 藤の花の宿 ページ9
大きな門をくぐり私が連れて来られたところは、藤の花が咲き乱れる旅館だった。
「ここは藤の花の宿と呼ばれるところだ。」
煉獄さんが教えてくれた。
彼は自ら煉獄杏寿郎と名乗った。
彼は鬼を狩る『鬼殺隊』と呼ばれる組織に所属しているそうだ。
何も知らない人からすれば、にわかに信じられない話だし、刀を持って通りを歩こうものなら銃刀法違反で逮捕される。
しかし、ピエロの化け物から助けられた私からすれば、彼の存在はありがたく、刀を持ち歩くことも個人的には鬼を倒す正当な理由になった。
鬼に狙われてしまった私は、彼の警護のもと行動を共にすることになり、事件が解決するまではこの宿で寝泊まりすることになるのだが。
旅館と思えないほど大きな敷地に私は驚いた。
中を進むとさらに中門があり、入り口に着物をきた旅館の仲居さんらしき女性が一礼した。
「お待ちしておりました、炎柱様。どうぞ、こちらでございます。」
煉獄さんが一礼し、私もつられてお辞儀した。
「炎柱様って?」
小声でそう聞くと、彼は「俺の別名と思ってもらえればいい」と言う。
ふーんと思いながら灯篭の灯った美しい庭を歩くと、一戸建ての和モダンな建物の前に着いた。
「こちらのお部屋となります。何かご用がございましたらいつでも仰せくださいませ。」
そう言って仲居さんは一礼して行ってしまった。
案内された建物は庭付き一戸建てで、これ全部私の部屋になるらしい。
他にも同じ建物が隣接して建っている。
「すごい、高級旅館みたい。」
私はひとり呟いた。
「君にはしばらくここから仕事場へ通うことになる。が、この宿は鬼の苦手な藤の花に囲まれている。ここにいればどんな鬼にも襲われない。」
確かに周りは静かで、プライベートが守られる環境になっている。
「…煉獄さんもここに住んでいるんですか?」
私がそう聞くと煉獄さんは首を横に振り、
「いや、俺はここにはいない。もし君が希望するなら一緒の部屋に泊まるがどうする?」
私はドキッとして思わず首を横に振った。
「ははは、安心しろ。君の嫌なようにはしない。ただ、これからは君の近くにいつもいることになる。」
「いつも?」
煉獄さんはその綺麗な目を細めて微笑んだ。
「…詳しいことはまた明日に。今日はもうゆっくり休みなさい。」
そう言って彼は流し目を帽子から覗かせると、玄関のドアをパタリと静かに閉めた。
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favo(ふぁぼ)(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉ちゃん!お久しぶりです☆ありがとう〜😆またちょっとずつ書いていくのでよろしくねぇ☆ (2022年12月22日 7時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ふぁぼちゃん、お久しぶりです。完結おめでとうございます。これからも頑張ってね😆 (2022年12月22日 4時) (レス) @page50 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - チェケラさん» こんばんは!チェケラさん、コメントありがとうございます!わー!大好きって言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます!少しずつの更新で待たせてしまい申し訳ないですが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2022年12月14日 0時) (レス) id: 507a9cc00c (このIDを非表示/違反報告)
チェケラ - コメント失礼します! favoさんの小説毎日読ませてもらっています!favoさんの小説とっても大好きです! これからも連載頑張ってください! (2022年12月12日 21時) (レス) @page27 id: df31792cbc (このIDを非表示/違反報告)
favo(ふぁぼ)(プロフ) - gn001yukaringoさん» わぁ〜!コメントありがとうございます!とても嬉しくて、また頑張ろうと思えました。ありがとうございます!完結まで頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2022年6月16日 20時) (レス) id: 8138f7760d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:favo(ふぁぼ) | 作成日時:2021年10月7日 18時