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キンッ!
すぐ背後から、鋭い金属の音が聞こえた。
振り返ると、ふたりの兵士が今まさに戦っている最中だった。一方は剣を、もう一方は盾をかかげ、両者睨み合っている。全身の血管が浮かび上がり、目は真っ赤に染まっていた。二人の間には糸を張りつめたような緊張感が走っていた。
その時、糸を引きちぎるような勢いで、ある兵士が叫んだ。
兵士「おい!空の捕虜が逃げ出したぞ!」
空の捕虜?いったい、何が起きているというの?
思考がまとまらないうちに、私は人混みのなかによく知った顔を見つけた。
アリシア「お母さん!!」
その声が届いたのか、一瞬、目が合った。
しかし、再会を喜び合うことはできない。すぐ後ろから縄を持った兵士が追いかけてきていたのだ。
アリシア「逃げて!危ない!」
その言葉もむなしく、母は捕まってしまった。
私の目の前で。
怒りに全身が震えた。
悲しい、けれども泣いている場合ではない。もう、私の大事な人を、アラムのようにはさせない···!!
強い決心で心を固め、縄を持った兵士を睨み付けた。
アリシア「絶対に···許さない」
瞬間、私は駆け出した。人混みは私を避けるように道をつくり、その先には縄で手足を縛られた母の姿だけがあった。そして、その縄をたどると、にたりと不気味な笑みを浮かべた一人の男がこちらを見つめていた。
いや、そこにいたのは一人ではなかった。
しかし、冷静さを失った私は、気づくことができなかった。
母「来ないで!」
その声も耳に入らなかった。
突然、シュンッという風をきる音が耳元で聞こえた。
右腕に、火が燃えているような激痛がはしった。
アリシア「痛っ···!」
見ると、赤黒いなめくじがとろりと肌をはって、地面に滴り落ちていた。
足が止まった。
剣が、からんと場違いに軽やかな音をたてて、手から滑り落ちた。
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作者名:セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時:2018年2月15日 15時