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story30☆ ページ32
山道が、だんだん険しくなってきた。
草に足をとられ、滑り落ちそうになる。
「おい、つかまれ！」
ヴィトルの手をつかんで、なんとか踏ん張れたけど、こわくて足が、がくがくと震えてしまう。
「ちょっと、まって、休憩しよう···」
「そうだな、あのでっかい木のところなら根がしっかりしてるから安全だろう。そこまで行くぞ」
そう言うと、ヴィトルは私の腕を強くつかんで、ぐいぐいとひっぱりだした。
「うわっ、ちょっと！」
「もう歩けねぇんだろ？それとも、またおんぶしてやるか？」
こんなときまで、にやにやと笑っている。本当に、ばかにして···。
「いいです、あーるーけーまーすー」
ヴィトルの足を踏み台にして、先に登ってやった。
振り向いてにやりと笑うと、睨み返された。口角は上がったままだったけど。
足の震えは、いつの間にか止まっていた。
ありがとう、ヴィトル。
こんなに辛いのに笑っていられるのはあなたのおかげ。
声には出さないけれど、心の中で呟いた。
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作者名：セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時：2018年2月15日 15時
