story19★ ページ21
私たちはそれから建物を隈なく探したが、ヴィトルの兄である医術士、ヴァルターが見つかることはなかった。
ヴィトル「……ここにはいねぇ、おかしいな…普段ヴァルターはあの診療所に行く以外、外に出る事はほとんどねぇのに」
薬の開発や診療で忙しいからな、とヴィトルは付け加えた。
アリシア「そう…なんですね」
今私たちがいる部屋は、ヴァルターの自室らしい。とても綺麗で、整理が行き届いていた。
さすが医術士の部屋……とでも言おうか、本当に綺麗な部屋だ。
それからしばらくの静寂が訪れ、先に口を開いたのはヴィトルだった。
ヴィトル「外に出る。街の者にヴァルターが何処にいるか聞く……アリシアはここにいて構わねぇが…どうする?」
私の答えなど決まっている。それはきっと、ヴィトルに出会ってここに来た時から。
ここで待っていてはここに来た意味がなくなってしまう。私は私の為に……
アリシア「行きます、私もヴァルターさんを探します。私は……医術士であるあなたの兄に会う為にここまで来たのだから」
私がそういえば、ヴィトルはしばらく私の目を真剣に見つめた。私はその目の強さに負けないようにヴィトルの目を見つめ返した。
やがてヴィトルはすっと口角を上げて笑った。
ヴィトル「だよな、まだアリシアと出逢ってそんなに時間も経ってねぇが………お前の事、ちょっとわかった気がするよ。お前は、面白い奴だ」
アリシア「なっ…………!」
私は顔に熱が集中して行くのを感じた。
面白い奴だなんて……初めて言われた。それは、どういう意味なのかはわからないが。
ヴィトル「ははっ、照れるなって。さーて、ヴァルターを探しに行くとするか!行くぞ、アリシア」
アリシア「はい!」
そうした私たちはヴァルターを探す為、外へと繰り出したのだった………
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作者名:セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時:2018年2月15日 15時