19. 気配 ページ19
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◇◆◇
Aとヴィオルドが人の多い通りを避けて歩くこと十五分。栄えていた街から遠ざかり、荒廃した町の跡地があった。
塗装が剥げた壁、穴の空いた屋根、砂埃で曇った窓。手入れされていない雑草が覆い茂り、道に薄暗い影を落とす。少し街を外れただけで、こんなにも景色が変わることにAは驚く。
人の気配がなく、気味の悪い空気が
「もうすぐだ。何があってもいいように準備しておけ」
「うん」
怖がっている場合ではないと、Aは自分を奮い立たせる。ジャメルザ邸ではヴィオルドのおかげで戦えたじゃないか。今も彼はすぐそこにいる――。
「そこだ」
そう言ってヴィオルドは草の陰から数メートル先の家を指差す。それは倉庫のような小屋だった。
黴びた匂いが鼻をつく。そして魔法使いのAには、黒魔法の気配がわかった。嫌な空気が小屋の周りに立ち込めている。
「ヴィオ、気をつけて。黒魔法の気配がする」
Aが小声で伝える。そんな彼女の顔を見てヴィオルドは驚いた。
「A、顔が青いぞ。大丈夫か?」
「大丈夫。黒魔法っていうのは、呪いとか、災いを起こしたりとか、人を苦しめたりするために創られた悪意の魔法なの。あとは、死者を生き返らせるとか、自然の法則を犯すような魔法も。真っ当は魔法使いからは嫌悪の対象で、規制されてるのよ。
……だから、遭遇は初めて。剥き出しの悪意が蔓延してて、体がぞわぞわする」
ヴィオルドはAに向き直り、彼女の頭に優しく手を乗せた。
「悪意なんてそこら中いくらでもある。ジャメルザにもあっただろ。今回は魔法が悪意を代弁してくれてるってことだ」
「そっか、そうだね。ありがとう、ヴィオ」
「ただ、相手が魔法使いってのが厄介だな。俺は戦ったことがない」
「家族は全員魔法使いだけど、戦ったことは一度も……」
二人で顔を見合わせる。ただ、かつての
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花宮 夢@低浮上(プロフ) - La merさん» お返事が遅くなってごめんなさい。読んで通知が消えた後、お恥ずかしながら忘れてしまいました。寒いので体調にはお気をつけくださいね。忙しい中、閲覧・コメントありがとうございます。 (2018年1月14日 1時) (レス) id: d55711392b (このIDを非表示/違反報告)
La mer(プロフ) - 夢さん、お久し振りです(*´ω`*) 久々に読ませて頂きました。今後の展開が予想できなくて気になっています……謎の言葉やそれを言った人物の正体も気になるし…… 張り詰めた毎日の良い息抜きになります、ありがとうございます(^^) 良いお年をお迎えください◎ (2017年12月23日 21時) (レス) id: 7b9f054eff (このIDを非表示/違反報告)
花宮 夢@帰国したけど低浮上(プロフ) - MIYA@冬氷雪さん» 遅くなってしまい申し訳ありません。画像はふわりさんの辞典にURLのやり方が載っていました。雑誌の件ですが、今更でよろしければこちらとしては大歓迎です。もちろんタイミングもあるので、できなくても大丈夫ですよ。 (2017年12月23日 18時) (レス) id: 75dac65544 (このIDを非表示/違反報告)
MIYA@冬氷雪 - 花宮 夢@帰国したけど低浮上さん» 今度、レディデイという雑誌で花宮夢さんの特集を作らせてください。お返事待ってます。 (2017年11月25日 13時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
MIYA@冬氷雪 - 花宮 夢@帰国したけど低浮上さん» お久しぶりに帰ってきてくれたんですね?本当にありがとうございます。(意味不!)新しく、CSSを研究中です。良ければ、どんな風に画像のCSSを投稿できるのか教えて欲しいです。どんなにゆっくりでも、いいので完結まで頑張ってください。 (2017年11月25日 13時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜庭 美羽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/SakurabaMiu/
作成日時:2017年6月18日 17時