切ない恋心をキミに。 (ページ6)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:38,409 hit

・ページ6

your side

『今日は最高の写真、撮ったるからな』

そう言って、康ちゃんはカメラを構えた。

.

ｶｼｬｯ、ｶｼｬｯ…

『A、もうちょい左寄れる？
…そうそう、ええで。顔だけこっちな』

康ちゃんの指示が飛んで、
私はその通りにポーズをとる。

.

あの時も、そうだったな…

あれは康ちゃんが、カメラにハマり始めた頃。

『A、モデルになってや』

そう言われて嬉しくて
たくさん写真を撮ってもらったっけ。

このひまわり畑は、康ちゃんがどうしても
ここで撮りたいからって
自転車の後ろに私を乗せて
連れてきてくれたんだよね。

「ふふっ」

『ん、なに、どうしたん？急に笑ろて』

ファインダーから目を外して
不思議そうに私を見る康ちゃん。

「ううん、懐かしいなって思って。
あの時は、ひまわりが凄く大きく感じたけど
私たちが小さかっただけなんだよね。
……楽しかったな、」

『……』

康ちゃんはカメラを構え直すと
無言でシャッターを切っていった。

「……康ちゃん？」

.

『A……、ホンマにお前は幸せなんか？』