家族 17 ページ26
「左馬刻くん、今日は泊まって行きなさい」
『え、なんでっスか』
「確たる証拠はありませんが、最近お見舞いに来られる頻度が増えたでしょう?Aさんも急かされている感覚になっていると思うんです」
『それって…そろそろ目を覚ますってことですか?』
「私の勝手な見解ですが、ほんの少し意識が浮上しつつあるので目覚める可能性は高いかと」
『意識が浮上してるって…一体どうやって…』
「たまにね、3人の誰かが帰った直後に苦しそうな表情をするんだ。左馬刻くんには分からないだろうけど、Aさんには誰かが傍にいたほうがいい。安心して目を覚ますかもしれない」
先生の話では姉は意識を取り戻しかけているらしい。
嬉しかったが、同時に緊張してきた。
起きたらなにを言おう、まずは謝らないと、けど、いったいどうやって?
姉にとって俺たちはあの日のままだ。
そんな俺たちがいきなり謝って許してくれるのか?
不安と、安堵の二つが心の中で渦巻いた。
「君が不安になるのも分かる。けれど、今の彼女には君が必要なんだ。なにをすべきかは彼女が目覚めてからでも遅くはないはずだよ」
『…そうですよね。わかりました。泊まります』
「うん。彼女のこと、よろしくね」
『はい』
その日、俺は姉の病室に泊まった。
翌日目が覚めると、寝ていたはずの姉の姿はなく、ベッドにあった毛布は俺に掛けられていた。
その瞬間に脳が覚醒し、理解した。
姉は、俺が寝ている間に目を覚まし俺がいることに気づいて姿を消したんだと。
『!またかよ…っ!』
また同じ過ちを繰り返すわけにはいかないと、俺は急いで姉を探した。
先生にもわけを話して、全員総出で探した。
合歓にも連絡した、リーマンにも連絡して、何度も繰り返し探し回った。
けど、姉は見つからなかった。
145人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月乃派 - 泣ける話で私も泣いてしまいました。これからも頑張って下さい。 (2022年1月7日 20時) (レス) id: 2fabf89436 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 泣ける話でした…この世にはいろんな家族の形があります幸せな家族の形のところにはずっと幸せでいて欲しいです悲しい形の家族のところは最後は幸せでいて欲しいですそう思わせてくれるような考えさせられる作品でした!とても感動しました! (2021年10月5日 13時) (レス) @page31 id: 7aaf2735e4 (このIDを非表示/違反報告)
悠希(プロフ) - 泣いた…シリアスだけどやばい。結婚したのは独歩か…? (2021年10月4日 12時) (レス) @page31 id: 4c65d8428b (このIDを非表示/違反報告)
AYA - 初コメ失礼致します。この作品、本当シリアスですね。けれど、話を読み進めていくうちに貰い泣きしそうになりました。「家族」とはどのようにあるべきなのか考えさせられる素晴らしい作品ですね。何度も読み返してしまう程、感動しました。 (2021年9月28日 16時) (レス) id: d783a40920 (このIDを非表示/違反報告)
インクサンズになった(インクめっちゃ推しとインク推しの人) - 涙腺崩壊したんゴ(´;ω;`)時々さまときのツッコミで笑ったのは秘密 (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: f700950663 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:プルコギ | 作成日時:2021年9月22日 21時