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家族 14 ページ23

綺麗だった姉の字だった日記の最後の文は、涙で滲んで読みづらくなっていた。


俺の涙と姉の涙。


感謝の言葉と救いを求める言葉。


姉は生きようとしてたんだ。


なのに、俺は…俺たちは…。



『姉さん…』



胸が苦しくなって、息ができなくなって、その場に崩れ落ちた。


目が覚めた時には日が出ていて、俺は姉の部屋で寝てしまった事に気づいた。


合歓は帰っているのだろうか。


心配になってスマホを取り出すと病院に泊まると連絡が来ていた。


直後に事務所から電話があって、俺は日記をしまって事務所に向かった。








「久しぶりですねぇ、左馬刻。最近、随分と静かなので心配になりましたが、元気そうで何よりです」


『おー…』


「む、どうした左馬刻、元気がないぞ」


『んなことねぇよ。俺はいつだって元気だ』


「バカ言え。お前が元気なときは俺の仕事が増えてんだよ」


『良いじゃねぇか、仕事が減ったんだからよォ』


「…オイ、マジでどうしたんだ?お前らしくねぇぞ」


「やはり、小官の特製栄養ドリンクを持ってくるべきだっただろうか」


『あー…』



銃兎と理鶯に心配されちまった。


なんだか今は理鶯の特製ドリンクも、銃兎の小煩い嫌味にも、何も返す気が起きねぇ。


理由は分かってる。


姉がまだ目を覚まさないからだ。


あの日から何ヶ月か経ったのに、未だに目を覚ます気配がない。


ただ、まだこの世界に留まってくれていることだけが分かってる。



「お前がそうなってんのはお前の姉のことだろ」


『んで、知ってんだよ』


「観音坂さんから聞きました。お前、仲間にくらい話せよな」


『悪かったな。手一杯だったんだよ、色々やることあって』


「左馬刻、気持ちは分かるが、報告しないのはどうかと思うぞ。小官たちは仲間だろう、話くらいしてくれ」


「仕事は増えますが、左馬刻が元気でないと困りますからね」


『おぅ…悪いな』

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設定タグ:ヒプマイ , シリアス   
作品ジャンル:泣ける話
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月乃派 - 泣ける話で私も泣いてしまいました。これからも頑張って下さい。 (2022年1月7日 20時) (レス) id: 2fabf89436 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 泣ける話でした…この世にはいろんな家族の形があります幸せな家族の形のところにはずっと幸せでいて欲しいです悲しい形の家族のところは最後は幸せでいて欲しいですそう思わせてくれるような考えさせられる作品でした!とても感動しました! (2021年10月5日 13時) (レス) @page31 id: 7aaf2735e4 (このIDを非表示/違反報告)
悠希(プロフ) - 泣いた…シリアスだけどやばい。結婚したのは独歩か…? (2021年10月4日 12時) (レス) @page31 id: 4c65d8428b (このIDを非表示/違反報告)
AYA - 初コメ失礼致します。この作品、本当シリアスですね。けれど、話を読み進めていくうちに貰い泣きしそうになりました。「家族」とはどのようにあるべきなのか考えさせられる素晴らしい作品ですね。何度も読み返してしまう程、感動しました。 (2021年9月28日 16時) (レス) id: d783a40920 (このIDを非表示/違反報告)
インクサンズになった(インクめっちゃ推しとインク推しの人) - 涙腺崩壊したんゴ(´;ω;`)時々さまときのツッコミで笑ったのは秘密 (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: f700950663 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:プルコギ | 作成日時:2021年9月22日 21時

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