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泣かないでside月永 ページ43

「あなたが、すき、なんです……っ」




涙声で必死に伝える目の前の少女。



何もない、ただの少女の告白にどくん、と大きく心臓が鳴る。



こういう時、いつもおれが返す言葉は


『ありがとう、ごめんな』


おれのことを大切に想ってくれていて、純粋で綺麗なその想い。



ありがとう。

でも、ごめん。



おれはその気持ちにいつだって応えられなかった。






「……お前が好きなのは“どのおれ”?


作曲家の月永レオ?

Knightsの月永レオ?


あ、それともおれの曲か?」




はんっ、と嘲笑うように口に出した言葉。


違う。こんなことが言いたいんじゃないのに。



でも、……怖かったんだ。




“あの時”、愛されていたのはおれの曲だった。


“あの時”、愛されたかったのはおれ自身だった。



セナでさえ『好きだ』と言葉にしてくれなかったおれを、本当にお前は好きだと言えるのか?



するとサトーはキッ、とおれを鋭く睨んだ。


その瞳は涙で濡れて艶やかに潤んでいる。




「バカに、しないで……っ!



好きになんてなりたくなかった。



変な人だし、


人の話聞かないし、


私だけやたら邪険にするし、


“嫌い”、“面白くない”って、言われたくない言葉ばっかり言うし、


強引で、訳がわからない人の事なんて……!



……でも、好きなんだからしょうがないじゃないですか……」




泣き疲れたのか、ペたんと地面に座り込む。


汚いぞ、と言えば、

放っておいてください、と返された。




「……黙ってないでさっさと振ってくださいよ。

周りに人がいないとはいえ、泣きながら人に告白したところなんて誰にも見られたくないです」




ぐすっ、と鼻を鳴らすサトー。




口を開いた。


はく、と息が漏れる。



『ありがとう、ごめんな』



……そのふたことが、言えない。



おれが今断れば、いつかこいつのこの気持ちは他のやつに向くんだろう。



当たり前だ。




「……泣くなよ……」




とりあえず、こいつに目の前で泣かれるのは、嫌だ。




「なんなんですかっ……振ってくださいって言ったのに、優しく、しないで……」




あぁ、余計に泣かせてしまった。



もどかしくて、どうしようもなくて、





おれは、その涙の伝う頬に触れた。

待って→←告白



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- 完結おめでとうございます!とても面白い作品で涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください! (2021年6月20日 6時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
美玖 - すっごく面白いです!いい言葉が出ないのでこの気持ちを伝えるのが難しいですが、私はすごく好きなお話です (2021年5月8日 21時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
美夜 - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます!とても面白い作品でした!是非、お二人のその後が読みたいです! (2019年2月26日 2時) (レス) id: 671397f4b4 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 続きを…書いて欲しいですっ!!!!とても面白かったです!!! (2019年2月26日 0時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
コユキアメ(プロフ) - この作品見つけたときからすっごく好きです!レオくん推しとしては続きを書いてもらいたいですm(_ _)m (2019年2月25日 8時) (レス) id: f7c062f730 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マヨネーズ | 作成日時:2018年10月8日 17時

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