30.正夢 夢主side ページ30
深夜―
ﾋﾟﾁｬｯ
真っ暗な空間、地面は生暖かい液体で濡れている
右も左も分からないこの場所をただ1人で歩いていた
ﾋﾟｶｯ
突然、目の前が明るくなり目が眩む
目が慣れてくると、足元の誰かが横たわっている
『ディゴリー…？』
側へ駆け寄り、声を掛ける
何故、亡くなったはずの彼がいるのか
ｶﾞﾊﾞｯ
「君が早く気付いていれば‼︎」
『⁉︎』
急に起き上がったと思いきや、腕を掴まれる
驚きのあまり、腕を払って立ち上がる
ふと、震える手に視線がいく
その手は真っ赤に染まっていて
足元も同じ生暖かい液体が広がっていた
『ｯ…‼︎』
恐怖のあまり逃げ出そうと後ろを振り返る
そこには、薄気味悪い笑みを浮かべたクラウチJrが立っていた
ﾀﾞｯ
『お父様ｯ…お母様ｯ…ドラコｯ…フィデスｯ‼︎』
背筋が凍る様な感覚に蝕まれながら只々走る
ﾄﾞﾝｯ
ﾄﾞｻｧｯ
『ブラック…？』
突然、人にぶつかったと思いきや、力無く倒れて来る
その体は酷く冷たく、固まっていた
『やめてｯ…お願いｯ…』
足が竦み、声が震え出す
「クロウ」
ふと、聞き慣れた優しい声が聞こえる
『ドラコ…？』
縋るようにその方向へと足を進める
ﾋｭｯ
『⁉︎』
地面に突然穴が空き、物凄い速度で落ちて行く感覚に陥る
ｸﾞｼｬｯ
目の前が赤黒く染まり、啜り泣く声がする
声は出せず、体の感覚も無い、体温さえも感じ無い
「クロウｯ…」
お父様、お母様、ドラコ、ルーナ達
皆の声が消え掛かっていく
ｶﾞﾊﾞｯ
『ﾊｧｯ…ﾊｧｯ…』
起き上がるとフィデスが心配そうに顔を近づけてくる
『ｯ…大丈夫よ、フィデス』
撫でると顔を擦り寄せてくるフィデス
この子なりに安心させようと
してくれてるのだと、愛らしく感じる
『今日は私が死んだ…昨日は…』
ここ数日、毎日似たような夢を見る
しかも毎回最後に亡くなる人が違う
『私が死ぬのはなんて事ないのに…』
何て酷い顔なの、と鏡に向かって笑い飛ばす
目には隈、顔色は悪く
冷や汗で体はベタベタと嫌な感触がする
『シャワーを浴びて、予習しましょう』
こんな夢くらいで気に病んでたらダメだ、と
自分に言い聞かせ、シャワー室へと向かう
ｽｯ
制服に着替えて、髪を整える
顔色も隈もメイクで何とか誤魔化す
ﾍﾟﾗｯ
『(O.W.L試験も控えているし
勉学を怠る訳にもいかない…知識は力になる
それに皆に迷惑を掛けたくない)』
フィデスを撫でながら
朝食の時間まで参考書を解いていく―
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kurou(プロフ) - ルリさん» ルリさん、お褒め頂き光栄です🙇🏻♂️色々と未熟ですが精進していきます！ (2022年1月26日 12時) (
レス) id: 9eb87bac7a (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - とても素敵な作品で、更新が待ち遠しいです！久しぶりのワクワクで読んでいてとても楽しいです！次の更新も頑張ってください！ (2022年1月26日 8時) (レス) id: f2a767728c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：戯言。 | 作成日時：2022年1月21日 14時
