Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ47)

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47.クィディッチ　夢主side ページ47

今日は寮対抗クィディッチ杯の決勝戦の日
スリザリン対グリフィンドールの試合である

この2寮の対決の時はいつも観客席まで熱狂的になるが
今回は決勝戦である為、試合前から熱気が凄いのだ―

ｷｬｧｧ

選手達がそれぞれ控え室に入って行く
それに女子生徒達が黄色い声を上げている

「ドラコはいつも囲まれてるわね」
『観客席にいる女子生徒の殆どが
ドラコのファンみたいな感じだものね』
沢山の女子生徒に囲まれるドラコを見て
私とパンジーは思わず苦笑してしまう

ﾊﾟﾁｯ

『が、ん、ば、れ』
私はドラコと目があった事に気付いて、口パクでそう伝える
周りの子達の声で大声をあげても聞こえないから

「ｯ‼︎」
ドラコは気づいた様子で目を見開いて顔を背けてしまった

私はその後、パンジーとアミーと共に観客席へと移動した

試合が始まり、現状はグリフィンドールの優勢である―

「スニッチは何処だろうね…」
『んー…』
アミーのその言葉を聞いて私もスニッチを探し始める

ﾋｭｯ

『あっ‼︎アミー、あったわ！』
目の前を通り過ぎて
下へと行くスニッチを指差してアミーを呼ぶ

「えっどこ！？」
『ほら見て、下に行ったの！』
私とアミーは観客席から身を乗り出す

その時、背後から複数人が近づいて来た

ﾄﾞﾝｯ

『えｯ…』
「クロウ！」
私は急な浮遊感に襲われる
アミーは泣きそうな声をあげて私を呼んでいる

そして、背中を強く押される前
彼女達が言っていた言葉を鮮明に思い出す

―頭が良いからって調子に乗りすぎよ
　ドラコにベタベタして、彼女でも無い癖に
　身の程をわきまえて欲しいわ―

ドラコに好意を抱いている彼女達に
私は観客席から落とされたのだとようやく気付いた

そして、最近の不自然な出来事も思い出す

教室に忘れた教科書や羊皮紙がビリビリに破かれていた事
後で巻こうと談話室に置いていたマフラーは灰と化していた事

『(私にそんな事する暇があるなら
彼に好きになってもらえる様に努力すれば良いのに)』
私は気分を害された気持ちになる

ﾋｭｩｩ

『(落ちたら骨が折れちゃうかしら…
それとも、死んじゃうのかな…)』
体が強張ってしまい、杖を振れない私はそんな事を考える

『(そんな事、私が1番よく分かってるわよ)』
彼女達が言っていた言葉がチクリと刺さる
私だって、自分が彼に釣り合わない事くらい分かってる…
実際、彼には好きな人がいるんだから…

「クロウ！」
真っ逆様に落ちて行く私にある声が聞こえる―