Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ44)

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44.幇助ページ44

『ｯ…』
クロウが2人を探していると突然、寒気に襲われる

すると、目の前に湖が広がっていて
そこには数えきれない程の吸魂鬼がいた―

「シリウス‼︎死んじゃダメだ！」
生気を吸い取られるのを見て、ハリーは気が動転している

『ハリー！守護霊を呼び出して！』
クロウは吸魂鬼のあまりの多さに湖の側に近寄れずにいた

「“エクスペクト・パトローナム”！」
ハリーは守護霊を呼び出すが、
まだ力が弱く、全く歯が立たなかった

『(私が出さなきゃ…‼︎)』
クロウは強い幸せな想いを浮かべる

両親が誇りだと言ってくれた時の笑顔
ルーナやフィデスと遊んでいる時の事
ドラコに抱き締められたあの日の事―

ｽｯ

『“エクスペクト・パトローナム”』
クロウがそう唱えると銀色の光はサンダーバードへと姿を変え
大きな翼で飛びながら沢山の吸魂鬼を追い払っていく

「クロウ！」
吸魂鬼が全て追い払われ、
ハリーは嬉しそうにクロウの名前を呼ぶ

『“エピスキー”』
クロウはすぐ2人の元へ駆け寄り、ブラックの治療を行う
みるみるうちにブラックの傷は癒えていく

「ｯ…君は本当に両親にそっくりだな…」
気を取り戻したのか、喋り始めるブラック

「クロウ、シリウスは逃してあげられないの？」
ハリーは眉を下げ、クロウに問い掛ける

ﾋﾟｰｯ

ハリーのその言葉にクロウは指笛を吹く
するとセストラルが1匹、側に降り立つ

『ハリー、貴方の家族だから見逃してあげるわ
但し、今回だけよ。ヘマはしないで』
クロウはセストラルを撫でながら
ハリーに支えられて立ち上がるブラックに言う

「シリウス、僕も一緒に」
「ハリー、一緒に行くのは危険だ
君は学校でしっかりと学ぶんだ」
「でもｯ…」
一緒に行く、と駄々をこねるハリー

「両親と過ごした時間は短いが
愛する人はいつも心の中にいる
それに…」
ハリーの耳元に顔を寄せるブラック

ｺｿｯ

「好きな人がいるんだろう？」
ブラックはセストラルを撫でているクロウをﾁﾗﾘと見る
ハリーはその言葉に顔を赤くする

ｽｯ

「賢いお嬢さん、ありがとう」
『私に出来る最善を尽くしただけよ』
ほら時間が無いわ、とハリーの背中を押すクロウ

「シリウス、またね」
「あぁ、またな」
そう言い、ブラックはセストラルに乗り、飛んでいった―

「クロウ、シリウスは何に乗ってたの？」
『セストラルよ』
また今度調べてみて、とクロウはハリー笑い掛ける

『ダンブルドア先生に報告に行かなきゃ』
2人はその場を後にした―