Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ43)

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43.満月ページ43

『(何か忘れている気がする…)』
クロウは胸騒ぎを起こしていた

その時、厚く被さっていた雲が移動し、
月明かりに辺りが照らされ始める―

『ルーピン先生！見ちゃダメ！』
クロウが胸騒ぎの正体に気付き、叫ぶがもう遅かった

ｳﾞｩｩ

「リーマス！大丈夫か！」
「今夜の分の薬は飲んでないのか！」
蹲るルーピンにブラック達も駆け寄ってくる
スネイプもマズい、と少し焦りを見せる

ｱ゛ｧ

『ウィーズリー、立って！』
ロンを立たせ、スネイプとクロウは3人を後ろへ隠す
ブラックは呻き声をあげるルーピンを宥めようとしている

ｷｨｯ

その隙を見てペティグリューが鼠へと姿を変え、逃げてしまう

ｳﾞｩｩ

『フィデス！深追いしてはダメよ！』
今はルーピン先生をどうにかしないと、と
クロウは追いかけようとするフィデスを止める

ｸﾞｸﾞｸﾞｯ

ルーピンは狼人間へと姿が変わっていく―

「リーマスｯ…‼︎」
ブラックは声をかけ、宥め続けるが
その努力も惜しく、完全に変わってしまった彼に
遠くへと投げ飛ばされてしまう

ｸｰﾝ

『…ルーピン先生？』
小さく鳴く目の前の彼に
クロウは彼なら、と希望を抱き、声を掛ける

ｸﾞﾜｯ

だが、その希望も砕け散り、クロウに襲い掛かる

ﾎﾞﾜｯ
ｷｬﾝｯ

主人に危害を加えようとする狼人間に
フィデスは身体中から炎を出し襲い掛かる
その炎が当たり、狼人間は悲痛の声をあげる

ｻﾞｯ

『ｯ…“プロテゴ・ディアボリカ”』
後ろへ下がり、クロウがそう唱えると青い炎が5人を囲む

「クロウ、これは…」
スネイプはそれを見て目を丸くする
他の3人は何が起きているのかさえ分からない様子

ｳﾞｩｩ
ｷﾞｬﾝｯｯ

ブラックが犬の姿になり、戻ってきたが
狼人間と普通の犬では力の差が大きすぎて
ブラックの方が怪我を負ってしまう

『フィデス！彼をなるべく遠くへ！』
殺してはダメよ！とクロウは叫ぶ

ｸﾞﾜｯ

すると、ブラックが再度遠くへと投げられてしまい
その後フィデスに襲い掛かるが、避けられ
主人の命令通りに狼人間を遠ざける為、森の中へと入って行く
その後を狼人間も激昂し、追いかけて行く

ｷﾞｬﾝｯｯ

「シリウス‼︎」
ブラックの悲痛の声を聞き、ハリーが走り出してしまう

『ハリー‼︎』
それに気付き、すぐに青い炎を消すクロウ

『セブルス、2人を学校へ。私はハリーを連れ戻すわ
ルーピン先生はフィデスに任せて』
「よかろう」
そう言い、二手に分かれるクロウとスネイプ