Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ40)

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40.裏切り者② ページ40

『叫びの屋敷の中ね…』
こんな所に繋がっていたなんて…と
クロウは驚きつつ、フィデスから降りる

「うわぁ！」
ロンの声が響き渡る
その声を聞き、クロウとフィデスは上へと上がって行く

ﾊﾞﾝｯ

声が聞こえた部屋の扉を開けるクロウ
そこには長髪でボロボロの服を着た男性が
部屋の奥に立っていた

『それ以上は近づかないで』
クロウはロンの前に立ち、ブラックを見る
そして、フィデスはロンからスキャバーズを奪う

ｷｨ

『フィデス、殺してはダメよ』
クロウにそう言われ、フィデスは前脚でスキャバーズを抑える
ただ、鋭い爪はいつでも首を掻き切れる位置に置かれている

「ロヤリテート！これはどう言う事だよ！」
ロンがクロウに対し、声を荒げる
それと同時にハリーとハーマイオニーが
部屋へと駆け込んで来る

「あの犬は？」
「ハリー、罠だ。犬はアイツだよ」
ハリーに聞かれ、ロンが部屋の奥を指差す

「ハリーを殺すなら私達も殺しなさい‼︎」
ブラックに気付き、ハリーを守る様に前へ出るハーマイオニー

「今夜死ぬのはただ1人…」
「それはお前だｯ」
ブラックのその言葉にハリーは怒りを露わにする

ﾊﾞｯ

『ハリー、辞めなさい』
「クロウ⁉︎なんで止めるんだ！こいつは僕の両親を！」
ハリーを止めるクロウにハリーは退いてくれ、と叫ぶ

『貴方のご両親を裏切ったのは
シリウス・ブラックじゃないわ』
そのクロウの言葉にクロウ以外の人は目を見開く

ﾊﾞﾝｯ

その瞬間、もう1人部屋に入って来る
リーマス・ルーピンだ―

「これはこれはシリウス…惨めな姿になったものだ
内なる狂気が遂に肉体にも現れたか？」
ブラックに杖を向け、そう言い放つ

「内なる狂気ならお前もよーく知ってる筈だが？」
そのブラックの一言にルーピンは杖を下ろし
2人は久しぶりの再会を果たす

「奴を見つけた」
「あぁ」
「ここにいる」
その2人の様子に3人は怪訝な顔をする

「ダメよ！信じてたのに！先生はずっとその人と…」
ハーマイオニーがそう声を荒げるが
クロウがそれを止める

『先生は狼人間、そう言いたいのでしょう？』
クロウは落ち着きなさい、とハーマイオニーを宥める

「いつから気付いていた」
その言葉にルーピンは顔色を変える

『授業内容になった時からです。
そして、他の事実にも見当がついています』
目を真っ直ぐ見ながら、しっかり答えるクロウ

「…君は両親譲りの賢い魔女だね」
感心と皮肉を込めた言い方をするルーピン