Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ29)

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29.守護霊ページ29

ホグワーツ特急内―

『(フィデスの記憶を見る限り、2人は
知り合いだと思う、それもかなり仲が良い
でも、会話の中にある人物の名前が気になる…
ハリーの一件で亡くなった筈の人では…？)』
クロウはあの2人と会話に上がっていた
ペティグリューって人物にも胸騒ぎがする、と
窓を眺め、フィデスを撫でつつ考え事をしていた

ﾋｿｯ

「クロウの考え事する時の癖だね」
「えぇそうね」
クロウは考え事をしている時、片手は自分の顎付近に添え、
片手でフィデスを撫でる癖があるのだ

『(とりあえず、その事件について詳しく調べてみて
休暇明けに校長に相談してみなきゃ
セブルスはルーピン先生に個人的な恨みがありそうだし)』
そう考えていると駅に到着した

「「クロウ、またね」」
『えぇ、また休暇明けに』
そう言い、2人と別れ
両親と先に合流していたルーナの元へと向かった―

次の日―

「この間の悪魔の護りは上手く出来たかな？」
『少し練習して3人分くらいの範囲は出来る様になりました』
「そうなの？早いわね」
偉いわ、とアリアから頭を撫でられるクロウ
今日は両親共に新しい魔法を教えてくれるのだ

「今日は、守護霊を呼び出す呪文を教える」
『守護霊、ですか？』
「そうよ、必要となるまでは眠ったままで
今こそって言う場面になって初めて目覚めるの」
隠れた自分自身って事よ、とアリアが追加で説明する

「吸魂鬼やレシフォールドに対する唯一の防衛術なんだ
とても複雑でね、実体のある守護霊を出せるのは
凄い魔法使いって言われてるんだよ
呼び出し方は
幸せな思い出を渾身の力で想う事」
そう説明し、両親は杖を出して呪文を唱える

ｽｯ

「「“エクスペクト・パトローナム”」」
それぞれの杖から銀色の光が広がり、
クロノスの光はグレニアンになり、大きな翼を広げている
アリアの光はユニコーンになり、グレニアンに寄り添う

『凄い…』
クロウはその光景に思わず息を飲む

「クロウが産まれて来てくれた時を想ったのよ」
アリアがそう言い、クロノスも微笑む
クロウはとても暖かな気持ちに包まれる

「その他にも、伝言を伝えたり、
物を運んだりする事もできるんだ
一度呼び出せば、次からは簡単に出せる様になる」
私は夜の巡回警備に使ってるね、とクロノスは言う

『私にも呼び出せるでしょうか…』
「出来るわ、クロウなら」
どんな形をしてるのかしらね、と
アリアはクロウに期待の目を向ける
両親の期待を胸にクロウは誇らしく思うのだった―