Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ27)

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27.後悔　夢主side ページ27

ｻﾞｯ

私は1人でフィデスと私しか入り方を知らない坪庭に来た

そして、木に凭れて座り、夜空を見上げる
他の人々は夕食が終わり、自由時間である
いつもなら図書室で復習と予習をしている時間だ

『(…ドラコの応援するって決めたのに)』
私はここ数週間、ドラコの好きな人の探る為
周りにバレない様、彼とは距離を取っている
なのに、全く見つからない所か顔の好みさえ分からない始末

『(ドラコの声、仕草、表情に
一喜一憂してしまう自分が嫌になる…)』
そんな事をしてる間に私はどんどん
ドラコへの気持ちが強くなってしまう

名前を呼んでくれる優しい声
初めて会った時から思ってた素敵な笑顔
意外とビビリで怖がりな所もあって
でも、そんな時でも守ってくれる紳士な所
何事も真剣に取り組んでいるから負けず嫌いなとこ

素敵なところが沢山見えてきてしまう―

『(ドラコは奥手だし、思った事も隠すのが上手だから)』
彼とよく一緒にいる私に
色々聞いて来る子達、みんな可愛くて
彼に好きって直接伝えられる素敵な子達だった
そんな子達の告白を断っているのも知っているから
余計に彼の好きな人が分からなくなってしまう

『(幼馴染のパンジーかと思ったけれど違ったし
いっそ、セオドールなのかな、なんて思ったけれど)』
パンジーはセオドールが好きだし、
かと言ってここ数週間2人の様子を見ていても
セオドールとドラコにそう言った様子は見受けられなかった

『(やっぱり、あの一言せいなのかな…)』
私はふと思い浮かんでしまったのだ
入学初日、組み分けされた時に私が言った一言が
優しい彼を縛り付けてしまってるのではないのか、と

『(ドラコは優しいから…
私が好きになったのがドラコじゃなかったら良かったのに)』
実際、魔法薬学の補佐も私が言ってしまった一言で
彼に好意を抱いている子達の邪魔をしている様なものだ
実に失言だった、と後悔しているのも事実

『…だからって、嫌いなんて言えないし
そう思おうとすればする程好きになっちゃう…』
彼にここ数日、何回か“好きな人が出来た”と
伝えようと試みたが、どれも
言葉が上手く出てこなくて失敗に終わってしまっている

ﾎﾟﾀｯﾎﾟﾀｯ

『…私なんか放っといていいから
早く誰かの彼氏になってよ…バカ…』
結局、他人任せになってしまう自分が嫌になる
色々な感情がごちゃごちゃになって
泣きたくも無いのに涙が溢れ出て来る
いっそ諦められたら良いのに、と―