Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ16)

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16.惹かれる　ハリーside ページ16

教科書を持ち、図書室に戻って来る―

『ハリーの選択科目は何？』
「魔法生物飼育学と占い学だよ」
クロウの隣に座り、教科書を見せる

『苦手な科目はどれかしら』
「魔法史と魔法薬学かな…」
僕の答えに納得した様な表情をするクロウ

『魔法史に関しては教授のやり方の問題ね
魔法薬学はスネイプ先生が苦手何でしょう？』
クロウはそう言って意地悪気に笑う
そんな表情もするんだ、と僕は少し驚いた

『そうね…魔法史だけやりましょう
きっと魔法薬学は大体分かってると思うから』
「うん、分かった」
そう言い、魔法史の教科書を開く

ﾍﾟﾗｯ

『3年次は魔女狩りが主だけれど…』
そう言い教科書を少し読み込んでいるクロウ

「(授業中よく見る顔だ…)」
合同授業の時、クロウを見ると
大体、真剣な表情をしている事が多いのだ

ﾄﾝｯ

『ここがきっとややこしいから重点的に復習しましょうか』
そう言い、丁寧に分かりやすく説明してくれるクロウ

「(分かりやすい、それに優しい声だな…)」
つい、声に聴き入ってしまいメモをする手が止まってしまう

『ハリー？分かりにくかったかしら』
眉を下げそう聞いて来るクロウ
いつもは凛としている表情が多い彼女だが
今日は知らない表情が沢山見れて少し嬉しい気持ちになる

「い、いやすごく分かりやすいよ！」
君の声が心地良くて、なんて恥ずかしくて言えない

『そう、なら良かった
ビンズ先生と同じくらい退屈って言われたら
どうしようかと思ったわ』
ｸｽｯと笑いながらそう言うクロウ

「(沢山笑うんだ、可愛い…)」
そんな彼女の表情に少し頬を赤らめるハリー

また彼女は説明を再開する

「(やっぱり気になるな…)」
メモをとりつつ、頭によぎったのは
クロウは自分からスリザリンを選んだ、ということ
どの寮にも入れる素質を持っていたのに何故
彼女は僕が嫌だったスリザリンを望んだのか、と

「ねぇ、クロウ。一つ聞いても良いかな」
『どうしたの？』
急に質問した僕に不思議そうな顔をするクロウ

「何で君はスリザリンを選んだの？」
何でグリフィンドールを選んでくれなかったの

『懐かしい質問ね。ドラコがいたからよ』
そう平然と答えた彼女はふわりと笑った

「…マルフォイと仲良いもんね」
『大切な友人だもの』
それは君がマルフォイの隣にいる時にする笑顔そのもので
僕はなんだか心臓を締め付けられる様な気持ちになった―