四話 ページ5
××
『お願い？』
英智「もし、僕のお願いを聞いてくれるなら今すぐにでもこの退職届を受理しよう」
『本当にっ？！』
英智の言葉に驚いた私は勢いよく席を立ち上がって目を輝かせた。しかし、その一方、あんずは怪訝そうな顔で英智のことをジッと見つめていた。
何でそんなに訝しげなのだろうか。
そんな私の些細な疑問も、英智が次に言い放った言葉によって全て吹き飛んでしまった。
英智「彼らに、君から退職することを告げるんだ」
『は？』
彼ら、とは多分零やレオ達のことだろう。知らないけど。多分そう。
でも、わざわざそんなことを教えなくても私が居なくなれば必然といつか分かるもんでしょ？どうしてそんな私がことしなきゃいけないの？
意味のわからない言葉の羅列に、私は必死に思考を巡らせていた。
分からない。分からないよ。
どうして？……なんで？
英智「僕たちが君のことを知らないように、君も僕たちのことを知らなすぎる」
『今更知って何になるの？』
英智「そう思うんだったら尚更君が直接伝えた方がいいと思うけどね」
相変わらず英智が言ってることは分からないことだらけだった。昔からそう、英智は難しい言葉ばかり並べて、私はそれを理解できない。
何も分かれない自分に苛立ち始め、何故か鼻の奥がツンとして視界がボヤけてきた。次第に私の目からは大粒の涙がぽろぽろと流れてくる。
泣いたのなんて何年ぶりだろうか…………。
そんな私を見兼ねたあんずが「英智先輩」と諭すような声色で一言。
それに対し、英智は申し訳なさそうに眉を下げて言葉を紡いだ。
英智「…………ごめんね。でも、先程言ったことは取り消せないよ」
どうして英智がそんな顔をするんだろう？
苦しいのも、つらいのも、泣きたいのも全部全部わたしなのにな、なんて考えていたら英智は音もなく席を立って私のすぐ横に来てしゃがんだ。
何だろう？と首を傾げると、英智は赤子をあやすように私の頭を撫ではじめた。
英智「もし、君が今回の件を誰かに話して少しでも嫌な気分になったらやめていいよ」
『…本当に？』
英智「うん。
君は知らないかもしれないけど、僕は案外君を気に入ってるんだ」
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みるくてぃー(プロフ) - 鳳凰さん» 素敵なコメントありがとうございます！とても励みになります！！不定期更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです♪ (8月22日 11時) (
レス) id: 4a169714af (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰 - 二十四話で推し達がいるの嬉しすぎる！！お話もとても面白いので更新楽しみにしてます！頑張ってください🌸 (8月21日 15時) (レス) @page25 id: 3ca2752c0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくてぃー | 作成日時：2023年2月12日 22時
