7つのキス ： WEST

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離れ校舎の特別教室。

　

キチンとドアを閉めたなら、もうここは生徒会じゃなくなる。


　

「ごめん、会いたくなって」

　


うしろから大好きな人に抱きしめられる。

　


「…嬉しいです、よ」

　


「ほんならよかった、」


　

嬉しそうに笑って、肩に顔を埋めてくる。

　

くすぐったい。

　


　
「会長が来てみんな見てました」

　


「なんでや」

　


「友達は、カッコいいって言ってました」

　


「お、焼きもちか？」

　


「……そうですけど」

　


「ふはっ、ほんまにかわええな」

　


　
会長は、わたしの身体を自分の方に向かせて、豪快に頭をワシャワシャしてくる。

　

ああ、もうせっかく整えた髪が。


　


「…けどこうして会うのもやめた方がええんよな」

　


さみしい目をして、乱した髪の毛を整えてくれる会長。

　

会長、会長、会長。

　

もう嫌になるこの言葉。


　

「会長…すきです、もうだいすきです」

　


「A…」




耳にかかる髪の毛を、そっとどけて、また悲しそうに微笑む。


　

「俺もすきや。せやから今は、会長って呼ばんで？」

　


笑わないでよ、すきだなんて言わないでよ。

　


もうどうしたらいいかわからないほど好きなんです。

　


　

　

「照史くん…」

　


「おん、」

　


「キス、したいです」


　

執行部が恋愛してます、


会長がわたしにキスをしてくれました

　


　

一瞬で、切なくて、やっぱり執行部という肩書きを捨てられないキスでした。

　





「今は頬だけ、な…？」

　


　
それでもわたしは幸せでした。


　

…





そんなわたしと夫の青春の1ページ。


　

　


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