7つのキス ： WEST

あまあまキス ：緑 ページ28

わたしの彼氏は、サッカー部に所属している。


　

放課後、時間のあるときにこうして智洋を眺めるのが至福の一時。


　

「神山！ナイスパス！」


　

2年になってクラスが離れて、あんまり話す時間がなくなってしまったけど、こうしていられるからそれでいっかなんて。


　

グラウンドの邪魔にならないように、フェンス越しにその姿を追いかける。


　

「ねぇきみ西高の女の子だよね」

　


肩をガシリ捕まれたかと思えば、野太い声が聞こえる。


瞬間、心臓が捕まれたかのように動かなくなる。


　

「もーこの子ビックリしてんじゃん」


　

ごめんね？なんて甘ったるい声で謝ってくる男。


最悪だ、囲まれた…。




「ちょっとついてきてくれるだけでええから。きみ、お金ほしいやろ？」

　


「…あ、あの」


　

「だいじょーぶ、痛いこととかせえへんから。ね？」

　



怖い、まさかこんなところで絡まれるなんて思ってもないし、まわりに応援もいない。


　

「す、すみません、離してくだ、さい、あの」

　


「かわいー。こんな弱っちい腕じゃ俺の腕は離せないなぁ」


　

抵抗しても通じない。


もう嫌だ、誰か助けて…。




「おいなにしとん」

　


「は？」

　


「と、智洋っ」

　


おそらく走ってきたのであろう、少し息が乱れた智洋がそこにいた。


　


「あ？ガキがなに生意気言うとるんや？」


　

「ガキちゃいます。ほんまのガキは2対1で女の子に手を出す人やと思いますけどね」


　

「あ？なんだとてめえ」

　


「この子がどうなってもええんか？」


　

「っや、！」

　


甘ったるい方が、躊躇もなくお尻を撫でまわす。


気持ち悪い、嫌だっ、逃げたいのに、逃げれない。


　

「おい！ええ加減にしろや！人の彼女になにしてんねん！！！」


　

とびかかってくる智洋。


怖くて目を閉じて、痛い音が耳に入ってくる。

　


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