7つのキス ： WEST

魔法つかいのきす ：紫 ページ24

「何度も言ったでしょ！何回言えば分かるの！？」

　


「…すみません」

　


「そうやってさ、すぐ泣きそうな顔するの本当に上手だよね？泣けば誰かが助けてくれると思ってるんだもんね」

　


「ち、ちが」

　


「はいはい、そういうのいいから。ったく小学生雇ってるわけじゃないんだけどなぁうちの会社」

　


「…っ、すみません」

　


はぁ…ようやく終わった、


野崎部長の後ろ姿を脱力した身体で見送る。


毎日毎日、わたしは部長のストレス発散に使われている。



もう、しんどい…



けど、これを乗り越えなきゃダメなんだ。

　




　


　





…







「やっと家だ…」




痛む足と頭。


就職祝いに父からもらった腕時計は、10時を指している。

　


はやく部長変わらないかなぁ…。




ため息を無意識に我慢しながらも、近づく家のドアへ。

　


鍵をさしてドアを開けると、灯りがついていて。

　

…もしかして。


　


「おかえり、A」


　


奥から出てきたのは、優しい笑顔の恋人でした。

　


「なんで泣くん〜」

　


いつの間にかずっと緊張していた身体が、

崇裕の笑顔みた瞬間、安心してほどけた。


崇裕の笑顔は魔法みたいだ。


　

いつもそう思う。

　

　

「っ、ごめんねぇ」

　


「なんで謝るん」

　


そっと抱きしめてくれた身体は、ずっとずっと強くて、崩れそうなわたしを受け止めてくれた。


　


　


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