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緊張した手でチャイムを鳴らした数分後。
ガチャリ、アパートのドアが開く。
「は?A…?」
そこにいたのは、マスクをして辛そうに立っていた愛しい人。
「…っ、」
思わず抱きしめれば、いろんな気持ちが溢れて、涙も止まらなくなった。
「あほちゃうか、ほんま…」
鼻声のその声が聞こえて、抱きしめられる。
「ごめん、今風邪ひいてて」
「知ってますよ、」
「あは、まじかぁ」
何気なく笑うの声でさえ、懐かしくて。
「寒いし中入るか?」
そっと優しく身体を離され、繋がれる手。
大きくてゴツゴツしている、大好きな手。
それでもやっぱりどこか弱々しく感じるのは風邪だけやないと思う。
「ごめんな、散らかってて」
部屋に入るとカーテンは閉じたままで、たくさんの参考書と本と資料。
空になったエナジードリンクが山積みになっていた。
先輩の行ってる大学はわたしでも知ってるくらいのとこやもんな、改めて先輩の努力が目にみえて、でもここまでせんでもええやんか、なんてちっぽけなことを想う。
「お茶とか出したいんやけど、…無いからちょっと買いに行ってくるわ」
「は?」
「ん?」
台所に立った先輩は、不思議そうにこっちをみている。
あほや、この人。
「病人は部屋で寝なあかんよ」
「いやめっちゃ元気やし」
なんでマッチョポーズするから、もう呆れた。
頬にそっと手を寄せれば熱を感じる。
「A、手ぇ冷たいなぁ」
「…先輩があついんですよ?」
ふと目が合う。
「……来るって言うてくれればいつでも迎えに行ったんに」
…この場に及んで、まだ優しさをみせてくる先輩。
…子供扱いせんでよ、
「キス、したい、です」
すっと先輩のマスクをあごまで下げれば、捕まれる手首。
「…あかん。キスはせえへん」
「なんで」
「…風邪が伝染ったらどうする、…んっ!」
背伸びすればキスもできるんよ、
もっと赤くなった先輩の耳。
もう子供ちゃうよ、せやから、
「甘えてください、」
遠く離れるあなたの心を追いかけるのはもう嫌です、
ぎゅ、と抱きしめられれば、
心がようやく重なった気がした。
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あり(プロフ) - ももさん» 感想ありがとうございます。 そうです!シゲちゃんのお話はその曲を参考に書きました〜。気に入っていただけたら何よりです^^ (2020年3月29日 22時) (レス) id: 3f199a5903 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 美紀さん» 温かいコメントありがとうございます^^ 応援に応えられるよう、精進していきますね。美紀さんもお身体を大切にできますように。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: 3f199a5903 (このIDを非表示/違反報告)
もも - はじめまして!westに最近はまってる者です。緑さんよりのオールです。赤さんの上京のお話が欅坂さんの「青空が違う」っていう曲の歌詞にそっくりでびっくりしました!また、楽しみにしています! (2020年3月26日 22時) (レス) id: d66e8e2621 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 初めまして美紀ですWEST大好きで緑と青とピンク色寄りのオールジャス民です最高です更新大変だと思うけど頑張ってください応援してますコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年3月26日 20時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまのこ | 作成日時:2020年3月12日 19時