7つのキス ： WEST

青空が違うキス ：赤 ページ13

「着いた……」

　


少し痛む腰と首。


夜行バスを降りれば、見慣れない人の雑踏と高いビルに圧倒される。

　


「重岡先輩のお家は…電車に乗って、えっと、」


　

東京って広いんやなぁ、

　

スマホで地図を開けばたくさんの情報に目がまわりそうになる。

　

兵庫の田舎で生まれ育ったわたしにとって都会は怖いところ。

　


それでも会いたい。


　
そう思ってやってきた。



　


…





prr.prr.prr.





『ん…？なんやAか』

　


「なんやって失礼な〜」

　


『ふは。ごめんごめん元気やったか？』




「おん、重岡先輩は？」

　


『あ、あぁ、めっちゃ元気やで』

　


叶えたい夢がある、そう言って、田舎から東京の大学に入ったわたしの彼氏。


ひとつしか年が変わらないはずなのに、どこか妹扱いしてくる先輩との関係に悩んでる、そんな時期に先輩はわたしを置いていった。

　


「やっぱり大変ですか？」

　


『ん、んーそうやなぁ』

　


ゲホゲホッ、なんて咳き込む声が聞こえる。


　


「風邪ひいたんですか？」

　


『いやちょっとな、あ、全然気にせんでええからな？大丈夫や』

　


「…」



　

先輩の大丈夫は信用ならん。


　

ちょっとムカッてきて悲しくなって、金曜日の学校終わり、すぐに東京へ向かった。

　


先輩が書いてくれた住所の紙を頼りに。

　


　

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