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『……あ、』
｢手伝います｣
『……ありがとう』
後ろから手を伸ばしてきた彼に手伝ってもらい、桶はあっという間に満タンになった。
『手伝ってくれてありがとう。えっと……』
｢……どちらでも構いませんよ｣
『わかった。……ありがとう、孫兵』
｢どういたしまして｣
手伝ってくれたのは三年の伊賀崎孫兵だった。彼と会うのは予算会議以来だ。
保健委員会の子たちや一年生は自然と名前で呼んでいたけれど、歳の近い、しかも対面二回目の孫兵を名字で呼ぶか名で呼ぶか迷ったのを悟られた。私としては心の中では基本みんな名前呼びなのでとても有難い。
しかし｢どういたしまして｣とセットで笑顔を付けてくるのはいけないと思います。君顔がいいんだからさ。人には興味なくて虫にしか笑いかけないんだろうな、とか勝手に思ってたから大ダメージだよ。なんかごめんね。
『本当に助かったよ。やっぱ力あるね、さすが男の子』
孫兵｢いえ、これくらい。……運ぶのもお手伝いしましょうか？｣
『ううん、すぐそこだから大丈夫。それに孫兵は何かしてたんじゃないの？』
孫兵｢ああ、僕は……｣
孫兵が何か言いかけたその時、どこからか声が聞こえた。
──おーい、どこだー！
『竹谷先輩じゃん……てことは、ま、まさか……』
孫兵｢いえ、今回は虫じゃないんです｣
『そ、そっか……』
竹谷と孫兵といえば生物委員会。生物委員会といえばよく虫を逃がす……と頭の中でどんどん思考が進んで一瞬ヒヤッとしたけど虫じゃなくてよかった。でも虫じゃないとしたら何を探しているんだろうか。
孫兵｢今回は狸が逃げてしまって｣
『え、生物委員会って狸まで飼ってるの？』
孫兵｢いえ。一年生の一平が怪我をした狸を見つけたというので、保護して治療していたんです。それが目を離した隙に逃げ出してしまったようで……｣
『なるほどね。じゃあ早く見つけてあげないと』
孫兵｢はい。では失礼します！｣
『うん、ありがとう』
孫兵はぺこりと一礼すると駆けて行った。
狸か、きっと可愛いんだろうなぁ。狸といえば、狐もそうだけど人を化かすという。本当にあって現代に伝わったのか 誰かの作り話なのかは定かじゃないけど、本当に化けられるなら見てみたいな。この世界何でもアリだから出来そう。
……ってこんなこと思ってるばやいじゃない。早く医務室へ戻らないと。数馬が待ってる。
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蒼葉碧(プロフ) - みむまむにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます〜！ヽ(^0^)ノ (2020年9月23日 8時) (
レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
みむまむに(プロフ) - すごく好きです！前作から引き続きずっと楽しいです！神作をありがとうございます！！ (2020年9月22日 21時) (レス) id: c45f50d5a3 (このIDを非表示/違反報告)
桜舞姫・蝶月姫(プロフ) - そっかぁ、簪の意味分からないかぁ、、、嫌われている所か....ねっ？ (2020年5月22日 20時) (レス) id: fcb098628f (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - nasiremonさん» ありがとうございます〜！´`* (2020年5月15日 23時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - すごく面白いです！！ 伊作先輩と鉢屋がかっこいい！ (2020年5月15日 0時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼葉碧 | 作成日時：2020年3月5日 15時
