●33 作法委員長の心情 ページ26
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「ふう……」
「おお仙蔵、帰ったか」
部屋へ戻ると同室の潮江文次郎が重そうな算盤をバチバチと弾いていた。委員会だけで飽き足らず自室でまで弾くとは、忙しのない奴だ。
机からこちらに視線を向けた際、いつも通りの隈をこさえているのが見えた。
文次郎「お前、実習に行ってたんじゃないのか?」
仙蔵「実習だったが?」
文次郎「そのわりには風呂上がりみたいに小綺麗じゃないか」
仙蔵「実際風呂上がりだからな」
文次郎「はあ、汚れるほど大変だったのか」
仙蔵「……まあな」
実習ではないが実際大変だったのは間違いない。
福富しんべヱと山村喜三太、あの二人に今日もしてやられた。なんの運命かあの二人とは本当に相性が悪い。
仙蔵「……そういえば、Aに会ってきたぞ」
文次郎「A……ああ、くのたまの」
AA。彼奴には入学当時から興味があった。
今まで存在しなかった女子生徒という稀有な存在だったのもある。特に意識し始めたのは彼奴が入学してから半年ほど経った頃だろうか。入学式では名前しか認識出来なかった為、いつ会えるかと密かに楽しみにしていたのだが半年経っても一向に見かけない。
──AA?そういや最近見かけないな。
不思議に思い級友に尋ねれば皆口を合わせてこういった。当時いた先輩方もだ。
教室が違えど同じ学園内で過ごしていてここまで見かけないというのはなにかおかしい、考えられる理由は一つ、彼奴が我々から身を隠している。
それに気づいてからというもの暇を見つけては彼奴を探していたがしかし、彼奴は隠蔽に長けているらしかった。成績がいい方である私でも見つけることは愚か、後ろ姿を見かけることで精一杯だった。
そんな折、耳を疑うような話が飛び込んできた。
"AAが委員会に参加させよう!"
明日で六年生になるという日、 たまたま学園長の庵の近くを通りがかった際に聞こえた。今までうんざりしていた学園長の迷惑な突然の思いつきに初めて感謝した瞬間だ。それを友人たちに話せば皆興味津々のようだった。
そして新一年生を迎えての委員会初日、彼奴は天井裏へ見学に来ていたのが分かった。追い続けていたAAがすぐそこいる、とは思ったもののその場は平然と過ごした。……というのは自惚れで、顔に出ていたらしく喜八郎に気づかれてしまった。
私もまだまだ修行が足りんということだ。
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黒糖さまでーす - かすてらさん、わかります自分もニヤけてます。 (2023年3月5日 23時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら - 忍たま…子ども向けアニメなのにニヤけちゃう… (2020年9月5日 12時) (レス) id: fce6735151 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - 一般人Nさん» へへ、ありがとうございます。告白されたの初めてなので嬉しいです*˙˙* 雑渡さん出ます!話の順番的にもう少し後なんですがめちゃくちゃ出てくるお話があるのでそこまでお待ちいただければと思います……!> < (2020年2月24日 21時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
一般人N - 初コメ失礼します!大好きです付き合ってください!(( 個人的に雑渡さんが好きだから雑渡さん出してくれると嬉しいなぁ…なんて思ってます!できればで良いので、無視してもらっても構いません!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2020年2月24日 16時) (レス) id: 3767b6257a (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - リリイさん» コメントありがとうございます!本編ではファンタジー要素を入れる予定は無いので本編終了後、番外編などで書ければと思います。素敵なアイデアありがとうございます^ω^ (2020年2月24日 8時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼葉碧 | 作成日時:2019年12月22日 23時