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しかしこういう事はよくあるようで、当番の保健委員にあとは任せてくれと言われて医務室を後にした。まだ委員会に入って二ヶ月弱しか経っていないだろうにもう慣れてしまっているとは、彼女はどれだけ倒れたのか。

申し訳なさも幾分あったから彼女の枕元には今朝作ったばかりの豆腐を置いてきた。



その日の夜、くの一長屋のそばまで実習の詳細を伝えに行った。顔色は良かったけど寝間着姿で昼とはだいぶ印象が違って見えた。



兵助｢……顔を見て逃げられて、追いかけて、立てこもられて、協力してもらうことになったけど目の前でぶっ倒れて｣

勘右衛門｢なんて？｣



そして実習当日の今日。

待ち合わせ時刻よりも早く揃ってしまって予定より早く学園を出た。出門表にサインしている間、Aと小松田さんは普通に会話していたことが気になって尋ねれば小松田さんは平気なんだとか。俺は逃げられたり目の前で倒れられたりしたのに小松田さんは何故平気なのか、少しだけ複雑だった。



到着した町はいつもより賑わっている気がした。中心部へ進みながら耳を澄ます。主婦に限らず色んな人間の声が耳に入ってくる。たまたま豆腐についての話が聞こえ反応してしまったがAは小さく笑い、枕元に置いていった豆腐のお礼を伝えてくれた。美味しかったと、そう言って貰えたのが何より嬉しかった。



また少し歩くと流行りのものとは甘味の事で行列があることがわかった。行ってみると老若男女の長い列。Aがずっと緊張しているようだったから、並んでいる間に色んなことを話した。



ずっと気になっていた男が苦手な理由、別に情けないなどとは思わなかった。誰にだって苦手なものはあるんだ。しかし先にその話を三郎にしたと聞いた。Aは誤魔化そうとしていたけど"押しかけられた"って言おうとしていたのがはっきり聞き取れた。何をやっているんだアイツは、絶対Aの反応を見て面白がっていたに違いない。



兵助｢俺はダメで小松田さんがいいのが少し複雑で……豆腐の感想聞けて、行列に並んで、三郎が押しかけて｣

勘右衛門｢三郎？｣



売っていたのは明(ﾐﾝ)で人気だという羊羹というものだった。

元々食べ物ならと計画していたお土産分と、並んでいる間に学園長の策略では？という、話が出た為学園長の分、そして自分とAの分を買った。店主に渡された袋の中を確認すると買ったものと別の包みがもう一つ。

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