泡を吐き出し、そして謳え【柊一颯】 (ページ5)

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その後も、甲斐は負けじと襲いかかったが、悔しくも組み敷かれてしまった

｢調子にのってるのはお前の方だろ｣

彼の手にはさっき甲斐から没収してバタフライナイフ

それを構え、甲斐の顔目掛けて振り下ろ───────

『あっぶな』

されなかった

｢空音…｣

『ごめん一颯くん。手、怪我してない？』

振り下ろされる前に私は思いっきり先生の手首を蹴り、ナイフを離させた

『絵描く人って手が大切なんだよね。怪我してたらどうしよう』

なんて呑気に話すが、それが甲斐のカンに障ったらしい

｢ざけんなよっ!!意味わかんねぇことばっかり言うな!!｣

『っ!!……いきなり大声出さないでよ』

耳に響く

うるさいんだよ

そんな私と甲斐の様子を見て、先生はまた口を開いた

｢どうやら、この状況を飲み込めていないようだなぁ｣

手首に付けられている腕時計に触れ、操作をする

ピッ、という音がしたかと思ったら

ドォォォォォォォンッ

そんな轟音と共に、大きな揺れが襲った

『うっわ!?』

思わず大声を出してしまった

｢ロックを解除した。外に出られるよ｣

そう一颯くんが言うと、クラスメイト達は一斉に外へ飛び出して行った

その様子をぼんやりと見つめる

｢お前は出なくていいの？｣

『うるさいところは好きじゃない』

廊下ではクラスメイト達が助けを呼んだりしていて騒がしい

｢…空音は俺が怖い？｣

『なんで？』

質問の意味がわからない

｢だって、人質に取るとか言ってるし、爆発させてるし｣

『…怖がってるのが普通なの？』

よく分からない

｢普通っていうか…｣

『私は、そういうのがよくわかんない。多数の人は怖がってるから私も怖いとか、楽しいって皆が言ってるのによくわからなかったりする』

だから今の状況だって怖くないし、なんとも思ってない

『だから、一颯くんのことも怖くない』