金曜日、一緒にご飯を食べるだけ。【そらる】

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カレイは味が濃くなるから、副菜は軽いものがいいかな。冷蔵庫には昨日までちまちま食べていたゆで野菜が何種類かあるし、それを消費してしまおう。


まずはいんげんの胡麻和え。ゆでいんげんを食べやすい大きさに切って、白だしと砂糖、白すりごまと和えれば完成。

あとはかつおぶしとポン酢をかけた小松菜のおひたし。今日は煮魚に凝ったし、このくらい簡単なものでもいいかな。


「Aー、生姜入れたよ」

「ん、ありがと！あとは座って休んでて」


盛り付けたお皿を運び、2人揃っていただきますと手を合わせる。


「はあ……煮汁染みてるカレイ柔らかくてめっちゃ美味しい最高……」

「早口か」


彼方くんは夢中でカレイを口に運ぶ私を見て笑ってるけど、今日の煮付けはかなりの自信作だ。我ながら上手にできたかも。

久々のちゃんとした和食。品数も多いし、カレイもご飯と一緒に食べたら止まらないし、副菜も箸休めにちょうどいいし、今日のご飯は完璧だ……。


「……すっごい幸せそうな顔してるけど」

「自分の料理の腕と和食の素晴らしさに感動してる」

「…なんか、偉いね。そうやってバランスとか考えて飯食うの」


俺なんて、金曜日以外はずっと出前かテイクアウトだよ。ラーメンとか牛丼とかカレーとか。野菜つけるってなったらコンビニのサラダくらいだし。

俺もちょっとは料理できるようにならないとなあ、と彼方くんはため息をついてみせた。私からしたらちゃんと3食とろうと(頑張って努力)してるだけでも成長してると思うけどなあ。


「う〜ん……おひたしとかサラダとか、1週間分くらいストックしておいたら？それをご飯の度にちょっとずつ食べてさ」

「……忘れるか傷ませる気がする」

「だいじょぶだいじょぶ、彼方くんはYDKだから」

「もう子どもって年齢じゃないんだけど」

「やればできる彼方くん、略してYDK」


この男、もともとのスペックは高いんだからちゃんとやろうと思えばできるはず。


「期待してるよ？彼方くん」

「……はいはい、Aサマの仰せのままに」

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