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エピソード15 ページ29

月に一度、体調が悪い日というのは存在すると思う。


「…最悪だ……」


それが病気ではなく、女子特有のものであれば、確実にそうだろう。
早めに気付けただけ、良かったかもしれない。

重いやつだ。

クルクルと違和感のあるお腹に、早く薬を飲んでおこうと部屋の中を漁る。

あ。


「そういえば、切らしてたんだっけ?」


見つからない薬に、思い出されるのは一ヶ月前。
最悪だと、またため息をついて、お財布の中を確認する。

ワンコイン。


「…はぁ、お金もない…」


この時ほど、親からのお小遣いを貰わなかった私を殴りたくなったことはない。
ヅキヅキと痛み出してきたお腹に、疼くまって、念じてみても、治ることはなく酷くなっていくだけ。


「……ど、しよ…」


取り敢えず、学校行く準備。

もうすぐテストが近いのだから、休んでいる暇はないと意地でも学校に行く準備を始める。
悪い顔色も厚めに化粧をすれば誤魔化せるはずだと、身支度を整える。

カイロでお腹、あたためて。
よし。

なんとか準備を終えた後で、ピンポーンとチャイム音が鳴り、笑顔を作って扉を開ける。


「おはよ、ゾムくん」


無理にでも休みたくなかった理由の一つ。
今日は週に一度のゾムくんとの登校日だ。


「ん、おはよ。……?」


挨拶を終えれば、ジーッと見つめてくるゾムくんに思わず苦笑い。

いつも通り、いつも通り。


「……体調、悪い?」


「え…?そんなこと、ないよ」


「ふーん」


ゾムくんは鋭いよね。

ギュッとお腹あたりを腕で抑えながらも、笑って見せれば、不機嫌そうに顔を歪ませるゾムくん。


「俺に嘘ついたらどうなるか分かっとる?」


「………どうなるの?」


「…そりゃもう、純粋なAじゃ、思いつかない事をいっぱい」


「わー、調子悪いかもなー」


絶対、いや。

仕方なく素直にそういえば、優しく頭を撫でられて、微笑まれる。

うっ…心臓に悪い…。


「よく言えました」


「…うん」


「キツイ時はちゃんと言わな、あかんよ?」


「ごめんなさい」


「…まぁ、今回は許したるわ。ほら、休もうぜ」


グイッと腕を引っ張られたかと思えば、すぐさま抱き上げられて、家の中に入れられた。
その一連の早さに言葉は出ず、気づけば私の部屋の前。

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月見(プロフ) - ゆうなさん» 感想ありがとうございます!!文才が足りないところも多々ありますが、頑張ります!(笑) (2021年2月22日 20時) (レス) id: 3ca37bb3dd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 続編…!!!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、、、ゾムがイケメンだ、イケメンだぁぁぁぁぁっっ!!!そして夢主も可愛いっっっ!!ぁぁぁぁぁぁあぁあ、話が面白すぎる!そしてめっちゃ癒されます…てかもうにやけ顔が収まらんww これからも頑張ってください!!! (2021年2月18日 4時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - RURUさん» 続編の方にも、感想ありがとうございます!続編も頑張りますね! (2021年1月23日 16時) (レス) id: 1f912309a9 (このIDを非表示/違反報告)
RURU - すき焼き…(訳:続編も最高です) (2021年1月14日 16時) (レス) id: 4226f6833e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月13日 23時

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